【教員の休職手続き】校長の家庭訪問で聞かれた5つの質問|制度解説と体験談

うつ病記録

※この記事は、だにえるがうつ病で休職した当時の体験をもとに書いています。体調や制度運用は人それぞれ違います。最終的な判断は、主治医や所属の人事担当に必ず確認してください。

こんにちは、だにえるです。

うつ病の診断書を受け取った日の夜、校長から「直接顔を見て話したいから、家に行っていいか」と電話がありました。電話を切ったあと、頭は真っ白。何を聞かれるのか、家に人を通せる状態なのか、明日の自分はちゃんと話せるのか――不安ばかりが膨らんでいった時間を、今もはっきり覚えています。

もし、いまあなたが同じ場面に立っているなら、先に一つだけ伝えさせてください。全部を正直に話さなくても大丈夫です。あなたの心を守ることが、何よりも優先されていい。休職は「逃げ」ではなく、地方公務員法と条例で定められた正式な制度です。使っていい権利で、使った人はたくさんいます。この記事は、制度の全体像と、校長の家庭訪問で実際に聞かれた5つの質問、そして「ここまでは話さなくていい」というラインを整理しました。少しでも心の準備に役立てば嬉しいです。

この記事でわかること

  • 病気休暇・休職の制度全体像(期間と給与がどうなるか)
  • 校長の家庭訪問で実際に聞かれた5つの質問と、その意図
  • 「ここまでは話さなくていい」という線引きの考え方
  • 面談前後にやっておきたい準備と、心を守るコツ

その前に:メンタル不調の教員は、あなただけじゃない

文部科学省の「令和6年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、精神疾患を理由に病気休職した公立学校教育職員は 7,087人 で、前年度より増加し過去最多となりました。「うつで休むなんて自分だけでは」と感じている方は多いのですが、数字の上でも、あなたは一人ではありません。

参考:文部科学省「公立学校教職員の人事行政状況調査」文部科学省「教育職員のメンタルヘルス対策について」

病気休暇と病気休職、何がどう違うのか

制度の話は難しいと感じるかもしれません。でも、知っておくと「いつまで休めるのか」「お金はどうなるのか」の見通しが立ち、気持ちが少し落ち着きます。公立学校の教員が使える代表的な制度をまとめました(自治体によって詳細は異なります。正式には勤務先の条例・規則と人事担当の案内が最終根拠です)。

区分 期間の目安 給与・手当の目安 主な根拠
病気休暇 原則90日以内(連続) 給与100%支給(期末・勤勉手当含む) 各自治体の職員の勤務時間・休暇等に関する条例
病気休職 1年目 病気休暇満了後〜1年 給与80%支給 各自治体の給与条例
病気休職 2〜3年目 最大3年まで 給与なし。共済組合から傷病手当金(標準報酬月額の2/3) 地方公務員等共済組合法

ざっくり言うと、最初の3か月は満額・そこから1年は8割・そのあと2年は共済から2/3。これだけで最大およそ4年、経済的な支えがある計算になります。住宅ローンや家族のことで頭が真っ白になる前に、この数字だけでもメモしてください。

制度の詳細は、関東中央病院が公開している復職支援資料が教員向けに分かりやすく整理されています。あわせて読むと全体像がつかみやすいです。

参考:関東中央病院「公立学校共済組合員のための復職支援」文部科学省「メンタルヘルス不調による病気休暇・休職からの職場復帰のための手引」(PDF)

そもそも休職に踏み切るまでの私の揺らぎは、【休職中の過ごし方⓪】休職への決意の話 に書いています。

校長から「家に行っていいか」と電話が来た夜

電話があったのは、夜の11時でした。私が診断結果を管理職に伝えた時間も遅かったので、ある意味では仕方ありません。でも「家にうかがってもいいか」と言われたとき、断れる空気ではありませんでした。

電話を切ってから私がまずしたのは、部屋の掃除です。上司を家にあげる想定をしていなかったので、案内できる部屋がない。とにかく一部屋だけでも整えようと、深夜1時までお茶の準備と掃除をしました。翌朝、目が覚めたのは6時。仕事に行かなくていいという解放感と、これから上司と話さなければいけない憂鬱さ。両方が同時に押し寄せて、整理がつかない朝でした。

ここで一つ、当時の自分に教えてあげたいことがあります。「家に来てもらう」以外の選択肢もあったということです。体調が悪いときは、管理職との面談は学校の応接室、または職員室近くの別室に切り替えてもらえることがあります。電話口で決められなくても、翌朝あらためて「申し訳ないのですが、家でお迎えする自信がないので◯◯で」と連絡してよい。これは甘えではなく、療養のために必要な配慮です。

校長の家庭訪問で実際に聞かれた5つの質問

約束の時間に校長を部屋に通すと、思ったより穏やかに話が始まりました。校長から私に向けられた質問は、大きく次の5つです。

  • なぜ病院に行こうと思ったのか
  • いつから辛くなっていたのか
  • 学校の業務の何が一番の原因だと感じているか
  • 家族はうつ病のことを知っているのか
  • 誰かに相談していたのか

どれも、答えに詰まる質問ばかりでした。それでも、自分の言葉でゆっくり話すことが、自分を守ることにつながると思って、ひとつずつ答えていきました。以下では、当時どう答えたかと、いま振り返って「こう考えて答えれば十分」と思う線を一緒に書いておきます。

質問1:なぜ病院に行こうと思ったのか

一番大きな理由は、自分自身がおかしくなっていることを、自分でも感じていたからです。これ以上悪化したら治療が難しくなる、その前に専門医にきちんと診てもらいたい――そう伝えました。自己診断の結果ではうつ病に近い数字が出ていたけれど、自分一人では納得できなかった、という気持ちも添えました。

答え方の線引き:「限界が近いと感じた」「専門家の判断が必要だと思った」の二つが伝われば十分です。過去のエピソードを細かく並べる必要はありません。

質問2:いつから辛くなっていたのか

病院でも聞かれたのですが、はっきり「この日から」と言える日は、自分でもわかりませんでした。少しずつ少しずつ調子が落ちていった、というのが正直なところです。これまでも嫌なことや辛いことはあった。でも、それなりにやり過ごせていた。だからこそ、自分でも変化に気づくのが遅れました。

答え方の線引き:日付が曖昧でも大丈夫。「ここ◯か月は眠れない日が増えた」「◯月ごろから食欲が落ちた」など、身体のサインで話すと、話し手の負担が軽く、相手にも伝わります。

質問3:学校の業務の何が一番の原因だと感じているか

私は、学級経営に対する自信が完全に喪失したことが一番大きかったと伝えました。立派な成果を上げてきたわけではないけれど、自分なりに頑張ってきたつもりだった。でも何ひとつうまく回らない。子ども・保護者・同僚・先輩から、自分のクラスについて悪く思われているのではないか。問題は起き、クレームは来る、廊下から教室を覗かれてヒソヒソ話される――。授業も行事も学校生活も、すべてが崩れていく感覚が何より辛かった、と。

答え方の線引き:ここは、管理職の評価や「校長が気にしそうな話」に寄せる必要はありません。自分の体調に直結した出来事だけを話せば十分です。同僚の実名や、内部の人間関係の具体的な経緯まで話す義務はありません。

質問4:家族はうつ病のことを知っているのか

家族には少しだけ話していました。ただ、大きな心配をかけたくなかったのと、自分でも極端な行動はとらないと思っていたので、「そんなに心配しなくていい」と伝えていた――そう答えました。

答え方の線引き:この質問は、自傷・自殺リスクを確認する意図も含みます。正直に「伝えている/まだ伝えていない」と答えればOK。家族構成や関係性の詳細を語る必要はありません。

質問5:誰かに相談していたのか

正直に言うと、ほとんどしていませんでした。何を相談したらいいのか、自分でもわからなかったというのが本音です。もともと相談が苦手で、「愚痴を話すのが苦手」「相談しても解決しないと思っている」「本気で受け止めてもらえないかもしれない」――いろんな思いが絡まって、誰にも言えませんでした。前の学校で管理職に相談したとき、真剣に取り合ってもらえなかった経験も尾を引いていました。

答え方の線引き:「相談できなかった」と答えることは、あなたの落ち度ではありません。むしろ学校側の支援体制の課題として聞かれている側面もあります。責める質問ではないので、安心してそのまま伝えて大丈夫です。

校長は私の話を最後まで聞いてくれて、適度に相槌を打ってくれました。「自分の学校経営や校務分掌が直接の原因ではない」と聞けて、少し安心しているようにも見えました。

「ここまでは話さなくていい」3つのライン

面談のあと、ぐったりしながら思ったのは「話しすぎたかもしれない」という後悔でした。いま振り返って、話さなくてよかったラインを3つだけ残しておきます。

  1. 具体的な誰か(同僚・保護者・児童)の個人名と、その人との細かいやり取り。原因を聞かれても「学級経営全般」「業務量全体」といった広い言い方で十分です。
  2. 治療の詳細(薬の名前・通院頻度・診断名の正確な区分)。主治医の指示に従って療養することだけ伝われば、管理職の判断には足ります。
  3. 今後のキャリアの決断(退職するか、復職するか)。面談当日に答えを出す必要はありません。「主治医と相談しながら決めます」で十分です。

相談先が学校の中だけだと、どうしても気を遣ってしまいます。誰かに話を聞いてほしい、でも職場の人には言えない――そんなときに私が救われたのは、利害関係のない外部のカウンセラーでした。オンラインで話せるサービスなら、家から一歩も出ずに予約できます。

  • オンラインカウンセリング cotree:臨床心理士など有資格者にチャット/ビデオで相談できる。休職前の整理にも、休職中の伴走にも使えます。 [AF_LINK_cotree]
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どちらも主治医の代わりではありませんが、「診察までの間、誰かに話を聞いてもらいたい」ときに役立ちます。

校長と一緒に主治医の病院へ行った話

家庭訪問のあと、校長と再度病院へ行くことになりました。管理職と主治医が直接、今後の休み方について話をする必要があるそうです。二日連続で病院に通うのは、正直、想像以上に消耗しました。

このときに嫌だったのが、校長の車で一緒に病院へ行くことです。病院までの道のりを上司と二人きりで過ごすのは、大きな負担でした。善意で乗せてくれたのだとは思います。でも「別の車で行かせてくれたらいいのに」と心の中で何度も思いながら、何とか会話に応じていました。

いま振り返れば、ここも「別々に行きたいです」と言ってよかった場面です。自費のタクシーでも、家族の送迎でも、公共交通でもかまわない。療養中の移動は、一人になれる時間を選んでいいのです。

病院では、主治医からの質問に答えながら、私の状態を改めて確認し、それを校長に共有する形で進みました。ただ、すべてを正直に話せたかというと、無理でした。校長の前では話せないこと、話したくないことも当然あります。私は、ところどころ取り繕いながら話しました。それでも、自分を守るために必要な選択だったと思っています。

休職決定後、校長と喫茶店で話したこと

主治医からは「まずは休みながら様子を見ること」「少しずつ心のエネルギーを充電していくこと」が大切だと伝えられました。診断書を書いてもらい、私の休職期間が正式に始まりました。

病院を出たあと、校長から「もう少し話がしたい」と言われ、近くの喫茶店に立ち寄りました。「今まで辛かったな」と声をかけてもらいましたが、私の頭の中は「早く帰りたい」という思いばかり。校長は本当にいろいろと考えてくれている方でした。それでも、心が消耗しきっているときは「直接話さなくてもいいのに」「一人にしてほしい」と感じてしまう。休職直後の自分には、それくらいの距離感がちょうど良かったのです。

校長面談を乗り切るために、当時の自分に伝えたいこと

これから面談を控えている方に、当時の自分が知っておきたかったことを4つだけお伝えします。

  • すべてを正直に話さなくていい。心を守るために、話さない自由もあります。
  • 家を綺麗にしようと無理しない。応接できる場所が一か所あれば十分。そもそも学校の応接室に切り替えてもOKです。
  • 家族や信頼できる人に同席を頼める場合は頼る。一人で抱えなくていい。
  • 面談後は完全オフの時間を確保する。心身のエネルギーは想像以上に削られます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 校長の家庭訪問を断ってもいいですか?

体調が悪ければ、場所の変更(学校の応接室・別室)や、別日程への変更を申し出てかまいません。電話口で即答できなくても、翌日以降に「体調の関係で◯◯にしてほしい」と伝えれば十分です。強制される性質のものではありません。

Q2. 面談に家族やパートナーに同席してもらえますか?

法律で定められた同席ルールはありませんが、「信頼できる第三者に同席してほしい」と申し出るのは自然なことです。特に自宅で行う場合、家族が在宅していれば同じ部屋にいてもらうだけで安心感がかなり違います。

Q3. 診断書は誰に、いつまでに出せばいいですか?

一般的には校長(管理職)経由で教育委員会に提出します。病気休暇の開始日より前に出すのが原則ですが、まずは主治医の診断が出た段階ですぐに連絡し、提出方法(郵送・家族が代理・後日提出など)を確認すれば大丈夫です。

Q4. 病気休暇90日・休職1年目80%・2年目以降2/3の数字は、どこの自治体でも同じですか?

公立学校教員は地方公務員なので、大枠(病気休暇90日満額、その後休職に移行、最大3年)は多くの自治体で共通です。ただし割合や期間の細部は条例で決まるため、必ず勤務先の人事担当や共済組合に確認してください。

Q5. 休職に入ると、ボーナス(期末・勤勉手当)はどうなりますか?

病気休暇中(90日)は基本的に満額支給、病気休職1年目は支給割合が減額、2年目以降は原則支給なしが一般的です。細かい計算は自治体ごとに異なるので、人事に「自分の場合どうなるか」を具体的な月で聞くと安心です。

Q6. 面談では学校の同僚や保護者の名前を出したくないのですが、どうすれば?

「特定の誰かというよりは、学級経営全体が難しくなった」「業務量が積み重なって体調が追いつかなくなった」など、広い言い方で十分です。個人名を出す義務はありません。

Q7. 休職中に退職するか復職するか、決められそうにありません。

療養中に大きな決断をしないのが基本です。主治医は「症状が落ち着いてから判断しましょう」と言ってくれることがほとんど。復職が難しくても、次のキャリアの選択肢は事前に情報を集めておけます。公務員から民間への転職を考え始めた方は、【教員からの転職】おすすめ業界と転職エージェントのまとめ も参考にしてください。

まとめ:焦らず、自分のペースを優先していい

校長の家庭訪問は、休職する側にとっては大きなストレスのかかる場です。私自身、終わった後はぐったりしてしまい、しばらく動けませんでした。それでも、この日を乗り越えたから、ようやく自宅療養の日々が始まりました。

覚えておいてほしいのは、休職は制度として用意された正式な選択肢であり、使っていい権利だということ。給与の支えも、復職支援も、診療も、あなた一人で背負うものではありません。

続きは 【教員休職中の過ごし方②】最初の1か月の話 に、復職のプロセスは 【教員休職中の過ごし方③】復職へのステップ に書いています。今まさに同じ立場にいる方へ。校長の前で全部話せなくても大丈夫です。あなたの心を一番に守ってください。

以上、だにえるでした。

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体験談だけでなく、専門家がまとめた本もあわせて読むと理解が深まります。

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