最終更新日:2026年4月23日/本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。紹介するサービスは筆者が実際に利用・調査したもの、または公的機関の一次情報をもとに掲載しています。詳細はこちら
はじめに|朝、職員室に行くのが怖いあなたへ
朝、目を覚ました瞬間に涙が出る。子どもたちは可愛いはずなのに、笑顔が作れない。「休みたい」と思う自分を責めてしまう——そんなあなたに、まず伝えたいことがあります。
あなたはすでに十分歩いてきました。いま必要なのは、立ち止まる勇気と、制度で守られているという事実を知ることです。
この記事を読めば、次の4つがわかります。
- うつ病になる前に現れる「初期サイン」(夜中に目が覚める・感情がなくなる等)
- 受診・休職の具体的な流れ(体験ベースで4時間悩んだリアル)
- 休職中に使える制度(病気休暇90日・病気休職最長3年・傷病手当金)
- 管理職への連絡と、次の一歩
書いているのは、公立小学校で7年間担任をしたあと、うつ状態で休職し、現在は小学校非常勤講師として復帰した「だにえる」です。2026年4月時点の最新の公的制度情報と、私自身の体験を混ぜて書きます。
文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」(2025年12月公表)によると、精神疾患による病気休職者は7,087人(全教育職員の0.77%)。前年と同水準で高止まりしています。これは、あなた一人の問題ではありません。
※本記事は医療情報ではなく、一人の元教員の体験談+公的制度情報です。症状がある方は、早めに専門医にご相談ください。緊急時は「こころの耳(厚生労働省)」の相談窓口が匿名・無料で使えます。
最初の異変|異動2か月目、夜中に目が覚めるようになった
結論から言うと、最初のサインは「夜中に目が覚める」ことでした。
新しい学校に異動して2か月。研究熱心な学校で、平日は朝7時から夜9時まで、休日も仕事と勉強に費やす生活。ゴールデンウィーク明けから、なぜか夜中の3時に目が覚めるようになりました。
身体は疲れているのに、意志に反して目が覚める。眠ってもまたすぐに朝が来る。当時はそれを「ただの疲れ」と片付けていました。振り返れば、これが最初の危険信号でした。
チェック|こんなサインは要注意
- 夜中に目が覚めて眠れない日が2週間以上続く
- 休日に寝ても疲れが抜けない
- 食欲が落ちる/逆に過食が止まらない
- 朝、職場に行くのが怖い
2つ以上当てはまる場合は、早めの受診を選択肢に入れてください。
大きなストレス|「若手は全員、二次会強制参加」の夜
異変から1か月ほど経った頃、行事の打ち上げがありました。飲み会が苦手な私は本当は行きたくなかったのですが、若手はほぼ強制参加。一次会で苦手なお酒を飲まされ、帰ろうとしたところに耳に入ってきたのが——
「若手は全員、二次会強制参加です」
本当に最悪でした。行きたくない自分と、流されてしまう自分。頭の中で二人の自分が罵り合っていました。いま思えば、この日から何かが静かに壊れ始めていたのだと思います。
※こうした同調圧力は、学校文化のなかでも特に若手教員を追い詰める要因です。文科省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」でも、病気休職の要因として「職場の対人関係」が23.2%と2番目に多く挙げられています。
もう一つの傷|職員室で聞いた「あの声」
ストレスの大きな要因は、飲み会だけではありませんでした。
職員室で、同僚の先生たちが子どもの悪口を言い合っている場面が、何度かありました。「あの子、本当にうるさい」「あの家庭、もう無理だわ」——子どもがいない時間帯での会話とはいえ、聞いているのが苦しかった。
さらに、そういう会話を管理職が止めることもなく、黙って聞いている。場合によっては同調することもある。
教育が嫌いになったわけではありません。むしろ教育が好きだったからこそ、子どもを大切にしない空気に失望しました。
「自分もいつかこうなってしまうのかな」という恐怖と、「この職場でこれ以上働き続けたくない」という絶望が、じわじわと心を削っていきました。
壊れていく自分|通勤中に「事故に遭いたい」と祈るようになった
朝、「誰かケガさせてくれないかな」と願う
翌週から、朝の出勤中に毎日こう考えるようになりました。
- 「このまま事故に遭って入院しないかな」
- 「誰かケガさせてくれないかな」
- 「急な天災で動けなくならないかな」
仕事が嫌でこう想像することは誰にでもあるかもしれません。でも、毎日必ず、しかも「そうなってほしい」と祈るようになったら、それは明確に危険なサインです。
子どもを可愛いと思えなくなる
- 子どもたちのことを一切かわいいと思えない
- 授業はうまくいかず、叱ることが増える
- 叱る自分に自己嫌悪を抱く
- 土日も休めない
サポートの先生から「よく耐えられるね」と慰められる始末。心が静かに、確実に、死んでいくような感覚でした。体重は3か月で6kg落ちていました。
「自分は大丈夫」と言い聞かせていた
後から振り返ると、体が壊れていく中で、私はずっと自分に言い聞かせていました。
- 「休んだらだめでしょ」
- 「体調は悪くない。ちょっと疲れてるだけ」
- 「あと◯日で休みだから大丈夫」
- 「まだ若いからなんとかなる」
「自分だけは大丈夫」という思い込みが、見たくない現実を見ないようにさせていたのだと思います。
いま同じような言葉を自分にかけている方がいたら、その声に気づいてほしいです。それは「頑張れるサイン」ではなく、「もう限界だよ」という心のメッセージかもしれません。
もしここまで読んで「自分のことだ」と感じた方は、いま一度深呼吸をしてください。そして、厚生労働省「こころの耳」教員向けページを開くだけでもOKです。今日は、それだけで十分です。
Xデー|子どもの話に、一切笑えなくなった日
その日も、いつも通り出勤していた——つもりでした。
- 子どもに感情のままに叱る
- 次の瞬間には「もうどうでもいい」と無視
- 廊下で先生たちが話している姿を見て「自分の悪口では」と恐怖が湧く
気づいたときには、子どもの話に一切笑えなくなっていました。
感情が、なくなっていました。
「あ、これ、だめなやつだ」——そう思いながらも、その日は教室で作業をしているふりをして同僚を避け、夜10時に帰宅。スマホで症状を検索すると、出てきた言葉は「うつ病」でした。
関連記事:[INTERNAL_LINK: 休職中の過ごし方|校長が家に来た話]/[INTERNAL_LINK: 教員の休職制度まとめ|病気休暇・病気休職・傷病手当金]
「休む」と決心するまでの3時間
まず「体調不良」と伝えて1日休む
翌朝、ようやく休む決心がつきました。「精神的に……」と言うのはためらわれ、まずは体調不良として校長に連絡。胃腸風邪のようなものだと受け取ってもらえ、ひとまず安心しました。
ポイント:最初から「うつかもしれない」と伝える必要はありません。「体調不良で1日休ませてください」だけで十分です。制度を使う準備は、心が少し落ち着いてからでOKです。
3時間悩んで、病院に行くと決めた
翌日からまた学校に行く現実を考えると、気持ちはさらに沈みました。3時間悩んだ末、病院に相談しようと決めました。
受診|心療内科が取れず、総合病院の精神科へ
心療内科は予約が取れず、何件か断られたあと、総合病院の精神科を受診できました。問診と検査を受け、医師から告げられたのはこの言葉です。
「頑張りすぎて、心が疲れてエネルギーがなくなっているね」
夜眠れない、夜中に目が覚める、過食——これらすべてが「心の疲れ」のサインで、負のループに入っているとのことでした。診断は「うつ症状」、3か月程度の休養が望ましい、と。
受診のハードルを下げる3つのコツ
- 「心療内科」が満員なら「精神科」「メンタルクリニック」で検索
- 総合病院の精神科は予約が取りやすい(翌日受診できることも)
- 対面受診がつらい日は、オンライン診療([AF_LINK_Kimochi]/[AF_LINK_cotree]等)も選択肢
決心と連絡|4時間悩んで教頭に電話した夜
受診後、気づいたら隣県まで車を走らせていました。夕方、道の駅でぼんやりしている時に学校から着信。電話に出る勇気がなく、ただ着信音が止むのを待っていました。
選択肢は2つ。
- 診断を正直に伝える
- 黙って今までどおり続ける
気づけば4時間。「他の人に迷惑をかけてしまう」という思いが最後まで邪魔をして、夜11時まで誰にも連絡できませんでした。
意を決して教頭に連絡すると、「校長に伝えるから、明日からは休んで、お大事にしてくれ」と返ってきて、ようやく一つ荷が下りました。直後、校長から——
「明日、家に行って、直接話を聞かせてくれないか」
その夜も、眠ることはできませんでした。翌日校長が家に来た話は、[INTERNAL_LINK: 休職中の過ごし方①|校長が家に来た日のリアル]にまとめています。
教員が休職中に使える制度まとめ(2026年4月時点)
ここからは、精神的にしんどいあなたが知っておきたい「制度の事実」です。制度は、使うために存在します。
1. 病気休暇(最大90日・給与100%)
地方公務員は、療養のために病気休暇を取得できます。人事院規則(国家公務員)の基準では特定病気休暇は原則連続90日まで。多くの自治体が同様のルールを採用しており、90日までは給料が100%支給されます(自治体条例により細部は異なるため、所属自治体の規定をご確認ください)。
2. 病気休職(最長3年・段階的に給与減)
病気休暇で復帰できない場合は、地方公務員法第28条の「分限休職」に移行します。一般的な給与支給は次の通りです。
- 休職1年目:給料の80%支給
- 休職2〜3年目:無給(ただし共済組合から傷病手当金)
- 最長期間:3年
3. 傷病手当金(公立学校共済組合)
公立学校共済組合に加入している教員は、病気で働けなくなった場合に傷病手当金を受給できます。
- 支給期間:支給開始日から通算1年6か月(結核は3年)+附加金6か月
- 支給額:標準報酬日額の2/3(組合員期間12か月以上の場合)
- 待期:連続して3日間の欠勤後、4日目から支給
詳細は公立学校共済組合「傷病手当金」公式ページで最新の条件をご確認ください。
4. 復職支援プログラム(試し出勤・リワーク)
多くの教育委員会が、復職前に段階的な「試し出勤」や「リワークプログラム」を用意しています。例として公立学校共済組合 関東中央病院の教員リワークプログラムは、生活リズム改善・ストレスマネジメント・コミュニケーション訓練を組み合わせた復職支援として知られています。
※復職プログラムの利用条件は自治体により異なります。主治医と教育委員会の担当者にご相談ください。
次の一歩|今日できる3つのこと
ここまで読んでくださったあなたへ、今日できる「小さな一歩」を3つだけ提案します。全部やる必要はありません。できそうなものを一つだけでOKです。
- 受診の予約を入れる(心療内科/精神科/総合病院のメンタルヘルス科)
- 「こころの耳」の相談窓口をブックマークする——厚生労働省 こころの耳 相談窓口(匿名・無料)
- 管理職に「体調不良で1日休みたい」と伝える(詳しい説明は不要)
管理職への連絡が怖い場合の伝え方テンプレートは、[INTERNAL_LINK: 教員が休職を申し出るときの校長への伝え方テンプレート]にまとめました。
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FAQ|休職を考えたときに多い質問
Q1. 診断書がなくても休めますか?
A. 1〜数日の病気休暇であれば診断書なしで取得できる自治体が多いです。ただし連続して数日以上休む場合や病気休職に移行する場合は、医師の診断書が必要になります。所属自治体の就業規則をご確認ください。
Q2. 休職したら収入はどうなりますか?
A. 病気休暇中(最大90日)は給料100%、病気休職1年目は80%、2〜3年目は共済組合の傷病手当金(標準報酬日額の2/3)が最長1年6か月支給されます。2026年4月時点の一般的な公立学校の例です。
Q3. 休職歴があると、昇進や次の異動に不利になりますか?
A. 地方公務員法上、療養のための休職は分限事由であり、休職期間中の昇給停止等はあっても、休職歴のみを理由にした不利益処分は原則行われません。各自治体の運用は人事担当にご確認ください。
Q4. 校長に「うつです」とは言いづらいです。どう伝えれば?
A. 最初から病名を伝える必要はありません。「体調不良で1日休ませてください」→「医師から休養が必要と言われました」→「診断書を提出します」の順でOKです。私も最初は「胃腸の調子が悪くて」と伝えました。
Q5. 休職中にやってはいけないことはありますか?
A. 療養に専念することが前提です。SNSでの発信や副業は自治体条例で制限されることがあるため、主治医と人事担当に相談してください。旅行やリワーク目的の軽い外出は多くの場合問題ありません。
Q6. 復職後、同じ学校に戻るのが怖いです。
A. 教育委員会の人事担当に「復職時の異動希望」を伝えることができます。復職支援プログラムや試し出勤を経由して環境を調整するケースが一般的です。私は復職後、常勤ではなく「小学校非常勤講師」という働き方を選びました。これも選択肢の一つです。
まとめ|「休む」は、逃げではなく、自分を守る行動
最後に、この記事の要点を整理します。
- 初期サインは「夜中に目が覚める」「朝、職場が怖い」「感情がなくなる」
- 2つ以上当てはまったら、受診を選択肢に入れてOK
- 病気休暇90日(給料100%)・病気休職最長3年・傷病手当金2/3という制度で守られている
- 管理職への連絡は「体調不良で1日休みたい」から始めて大丈夫
- 復職後の働き方は常勤復帰だけではない(非常勤・異動・休職継続も選択肢)
2026年4月時点で、精神疾患による教員の病気休職者は7,087人。あなた一人の問題ではなく、制度はあなたを守るために存在します。
焦らなくて大丈夫です。今日は、深呼吸を3回するだけでも一歩前進です。明日また、もう一歩だけ進めばいい。あなたが明日も生きていられる選択を、いま一つずつ積み上げてください。
続きは[INTERNAL_LINK: 休職中の過ごし方①|校長が家に来た話]へ。制度の詳細は[INTERNAL_LINK: 教員の休職制度まとめ|病気休暇・病気休職・傷病手当金]にまとめています。復職後の働き方を考えたい方は[INTERNAL_LINK: 教員を辞めずに「非常勤」という選択|だにえるの復帰体験]も読んでみてください。
著者プロフィール
だにえる/公立小学校教員7年→うつ状態で休職→現在は小学校非常勤講師として復帰。YouTube「小学生でもわかるAI」運営、ブログ執筆。「追い詰めない/選択肢を示す/制度で守られる事実を伝える」を発信ポリシーに、同じ経験をする先生たちへ一次情報を届けています。
以上、だにえるでした。あなたが今日の夜、少しでも眠れますように。
参考・出典
- 文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」(2025年12月公表)
- 公立学校共済組合「傷病手当金/傷病手当金附加金」
- 厚生労働省 こころの耳「こころのケア -学校の先生へ-」
- 厚生労働省 こころの耳 相談窓口(匿名・無料)
- 文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策について」
- 公立学校共済組合 関東中央病院「教員リワークプログラム」
※本記事の制度情報は2026年4月23日時点のものです。制度は改定される可能性があるため、ご自身の自治体の最新規定・共済組合の公式ページもあわせてご確認ください。
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