おはようございます。現役教員のダニエルです。
情報モラル教育が始まり、学校現場では子どもたちのスマホやインターネットとの付き合い方を指導する機会がぐっと増えました。一方で、現場の先生方や保護者の方からはこんな声をよく聞きます。
- 「いろんな知識はあるけれど、結局どうしたらいいかわからず、禁止してしまう」
- 「うちの子、気づいたら何時間もスマホを見ている」
- 「そもそも大人の自分が、スマホをやめられない」
実際、株式会社ライボが行った「2022年 スマホ依存の実態調査」では、79.6%の人がスマホに依存していると回答しました。もはやスマホ依存は一部の人の問題ではなく、私たち全員のテーマです。
この記事でわかること – インターネット依存症の正体(行動嗜癖という仕組み) – なぜ子どもほど依存症になりやすいのか(脳の仕組み) – 依存症にならないための家庭で今日からできる3つのルール – 大人が子どもの鑑として意識したいこと
教員として子どもたちに指導している内容と、自分自身が実践している工夫を、保護者の方にも届くようにまとめました。親子で一緒にスマホとの距離を考えるきっかけにしていただければうれしいです。
- インターネット依存症とは?大人も子どもも陥る「行動嗜癖」の正体
- なぜ「大切なもの」の優先順位が崩れてしまうのか
- インターネット依存症による悪循環と子どもの脳への影響
- インターネット依存症を防ぐ3つのルール【家庭で今日からできる】
- 大人は子どもの鑑——保護者と教員が意識したいこと
- 【FAQ】インターネット依存症に関するよくある質問
- まとめ:やめるのではなく「減らす」という選択
- インターネット依存症とは?大人も子どもも陥る「行動嗜癖」の正体
- なぜ「大切なもの」の優先順位が崩れてしまうのか
- インターネット依存症による悪循環と子どもの脳への影響
- インターネット依存症を防ぐ3つのルール【家庭で今日からできる】
- 大人は子どもの鑑——保護者と教員が意識したいこと
- 【FAQ】インターネット依存症に関するよくある質問
- まとめ:やめるのではなく「減らす」という選択
インターネット依存症とは?大人も子どもも陥る「行動嗜癖」の正体
結論から言うと、インターネット依存症とは「特定の何かに心を奪われて、やめたくてもやめられない状態」のうち、特定の行動に対して起こるものです。
物質依存と行動嗜癖の違い
依存症には大きく2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 物質依存 | ある物質に対する依存 | アルコール依存症、薬物依存症 |
| 行動嗜癖(こうどうしへき) | 特定の行動や行為に対する依存 | ギャンブル依存症、インターネット依存症 |
インターネット依存症は「行動嗜癖」に分類されます。薬物などと違って物理的な中毒物質はないのに、スマホを触るという「行動」そのものが習慣化し、コントロールできなくなるのが特徴です。
スマホ依存は79.6%——データで見る現代の依存リスク
冒頭で紹介した通り、スマホ依存を自覚している人は約8割。これは「意志が弱い人だけの問題」ではなく、インターネットが生活に深く根付いた現代における、誰にでも起こり得る症状だということを示しています。
子どもに指導する前に、まず大人である私たち自身が「どうしたらうまく付き合えるのか」を知っておくことが、結果的に子どもを守ることにつながります。
なぜ「大切なもの」の優先順位が崩れてしまうのか
依存症になると、自分の人生の「大切なものランキング」が静かに崩れていきます。
私たちは誰もが、家族、友人、仕事、健康、趣味など、人生で大切にしているものを持っています。普段は意識していなくても、自分の中でなんとなく優先順位は決まっています。
しかし、インターネット依存症に陥ると、スマホや動画、SNSといった依存対象を無意識に最優先するようになり、本当に大切なものが後回しになっていきます。これが人間関係の悪化や、勉強・仕事のパフォーマンス低下につながっていくのです。
人間は「ご褒美までの時間」で行動を決める
ではなぜ、こんなにも簡単にランキングは崩れてしまうのでしょうか。
実は、人間は物事の重要性ではなく、ご褒美を手に入れるまでの時間で行動の優先順位を決めています。将来のために勉強したほうがいいとわかっていても、すぐに手に入る満足感を求めてスマホに手が伸びてしまう——誰しも経験があるはずです。
スマホゲームと勉強を脳科学で比較する
スマホゲームと勉強を比べると、脳が受け取る「ご褒美の速さ」の違いが一目瞭然です。
スマホゲームの場合 – すぐにレベルアップできる – ログインするだけでボーナスがもらえる – ゲーム仲間と一緒に遊ぶ満足感がある
勉強の場合 – レベルアップがいつ起きるか目に見えない – 毎日コツコツ積み重ねても何ももらえない – 一人で取り組むため孤独感がある
この差があるため、スマホは今すぐ、勉強は先延ばしという選択が、脳にとっては「合理的」になってしまうのです。
前頭前野と辺縁系——待てない脳の仕組み
もう少し脳科学的に踏み込むと、脳の中では2つの部位がせめぎ合っています。
- 前頭前野:理性や常識を掌り、将来の計画を立てる
- 辺縁系:感情や衝動を掌り、目の前の欲求を優先する
前頭前野がうまく機能していれば「今は我慢して勉強しよう」と判断できますが、辺縁系に主導権を奪われると「今すぐスマホ」に流されてしまいます。人間は本来、待つことが苦手な生き物なのです。
インターネット依存症による悪循環と子どもの脳への影響
インターネット依存症になると、次のような悪循環が生まれます。
- インターネットを使いすぎる → 就寝時刻が遅くなる
- 睡眠不足 → 日中のストレスが蓄積する
- ストレス → 不安感や恐怖心が増す
- 不安から逃れるために → またインターネットを使う
- さらに睡眠時間が削られる……
一度はまると、自分ではどうしようもなくなってしまうのが依存症の怖さです。
睡眠不足 → ストレス → 不安 → ネット依存のループ
しかも厄介なのは、この悪循環の一つひとつが前頭前野の働きを弱める要因になっていること。睡眠不足もストレスも不安も、理性を働かせる力を奪っていきます。結果として、「わかっているのにやめられない」状態がどんどん強化されていくのです。
14〜16歳の前頭前野に起こっていること
ここは特に、小学校高学年〜中学生の子どもを持つ保護者の方に知っておいてほしいポイントです。
10代のうちは、辺縁系に比べて前頭前野の働きが弱く、若者ほど目の前の欲求に対して衝動的な行動を取りやすいことがわかっています。そして14〜16歳の時期に、前頭前野のネットワークは周囲の環境の影響を受けて大きく変化します。
つまり、この時期にインターネットを使いすぎると、前頭前野がうまく成長しないまま大人になってしまうリスクがあるのです。だからこそ、学生のうちにインターネットとの付き合い方を学ぶことが、未来の自分を守るためにとても大切になります。
依存症になりやすい人の特徴は「意志の弱さ」ではない
「意志が弱い人」「だらしない人」が依存症になる——そんなイメージがあるかもしれませんが、実はそうとは言い切れません。真面目で責任感の強い人も、十分に依存症になり得ます。
大切なのは、「どんな人がなるか」ではなく「どうやったらなるのか」を知ること。そこを知っておけば、自分や子どもを環境から守る手立てが見えてきます。
自分の意志を変えるのはとても難しい。だから、環境を変えましょう。
インターネット依存症を防ぐ3つのルール【家庭で今日からできる】
ダイエットと同じで、大好きなものを急にゼロにするとリバウンドが待っています。これだけ生活に根付いた便利なインターネットをいきなり全部やめるのは、ほぼ不可能です。
だからこそ、やめるのではなく、「減らす」という考え方でインターネットと向き合いましょう。そのために必要な3つのルールがこちらです。
インターネット依存症を防ぐ3つのルール 1. 未来の自分のために環境を整える 2. 自分をコントロールする方法を身に付ける 3. 他者の存在を自分の力に変える
ルール1:未来の自分のために環境を整える(6つの具体策)
ポイント:どうでもいいことは遠ざけるか不快な環境で行い、大切なことほど楽にできるようにする。
意志の力に頼るのではなく、環境の力を使うのがコツです。
- 勉強中は机の上にスマホを置かない – テキサス大学の研究チームは、スマホが机の上にあるだけで勉強の効率が下がると報告しています。引き出しの中や別の部屋に置くだけで集中力が変わります。
- ネット・ゲームができる環境と不快な環境を組み合わせる – 自宅の中でもっとも不快な場所にネット環境やゲームを置くだけで、欲求が自然と抑えられます。
- 大切なことは手軽にできるように準備しておく – 勉強なら参考書やノートを机の上に開いたままにする、運動ならウェアとシューズを玄関に出しておく、など。
- 勉強する場所は最も快適な環境を選ぶ – 自宅で一番快適な場所を、一番大切な作業に割り当てましょう。
- SNSの通知はオフにする – 「いいね」やコメントの通知は、届くたびに集中力を奪います。通知オフは今日からできる最強の一手。
- 特定のサイトやアプリのアクセスに制限を設ける – Chromeなら拡張機能のWasteNoTime、iPhoneならスクリーンタイム、Androidならデジタルウェルビーイングが使えます。
ルール2:自分をコントロールする目標設定術
ポイント:具体的で細かい目標を立てて実行していく。
- スケジュールは短い単位で区切る – 「1ヶ月後までに○○する」など期限が遠いと、結局先延ばしになります。1週間や10日単位に分割すると、小さな達成感が積み重なります。
- 目標は「いつ・どこで・何をするか」まで具体化する – 「もっと勉強する」ではなく「19時から、自室で、テキストの◯ページを解く」のように行動レベルまで落とし込みます。
- スモールステップで始める – 人間は動き始めが一番エネルギーを使います。「寝る前に、とりあえず1ページだけ本を開く」のように、小さな一歩を設計しましょう。
- 順番は「行動 → ご褒美」に固定する – 「ゲームを1時間やったら勉強しよう」では絶対に勉強にたどり着きません。「勉強を1時間やったらゲームをする」の順番を守ります。
ルール3:他者の存在を自分の力に変える
ポイント:自分の逃げ場を自分でなくして、自分を追い込む。
- 周囲の人に目標を宣言する
- 私たちは「どう見られているか」を気にする生き物です。目標を宣言すると、見られているかもしれないというプレッシャーが強力なモチベーションになります。
- 特に「認めてほしい」と思う人に宣言する
- 家族、恋人、尊敬する先輩——自分が評価を気にする相手ほど効果は大きくなります。
子どもの場合は、保護者や担任が「見守っているよ」という立場で関わることで、このルールの効果が引き出せます。
大人は子どもの鑑——保護者と教員が意識したいこと
ここからは、教員としての現場感覚を踏まえて、保護者の方にお伝えしたいことを書きます。
子どもに言う前に、自分のスマホ時間を見直す
子どもにスマホのルールを守ってほしいと願うなら、まず大人である自分自身が「使う姿」を見直す必要があります。子どもは大人の言葉ではなく、大人の行動を鏡のように映して育ちます。
食事中にスマホを見ながら「ご飯のときはスマホ禁止ね」と言っても、子どもには届きません。大人は子どもの鑑。この言葉を、一緒にスクリーンタイムを確認する合言葉にしていただければと思います。
家庭でのスマホルールの作り方
家庭でルールを作るときは、次の3点を親子で一緒に決めるのがおすすめです。
- 使っていい時間帯(例:宿題が終わってから21時まで)
- 使ってはいけない場所(例:食卓、寝室)
- 破ったときの約束(例:翌日は30分短縮)
大人だけが決めて押し付けるのではなく、子ども自身が「自分で決めた」という感覚を持てることが、ルールを長続きさせる最大のコツです。
【FAQ】インターネット依存症に関するよくある質問
Q. 1日何時間以上で依存症と言えますか?
A. 時間だけで機械的に判定できるものではありません。「やめたくてもやめられない」「他の大切なことの優先順位が下がっている」と感じたら、依存のサインだと考えてください。
Q. 子どものスマホを取り上げるのはアリですか?
A. 一時的には効果があっても、リバウンドのリスクが大きいです。取り上げるよりも、本記事で紹介した「環境を整える」「ルールを具体化する」アプローチのほうが、長期的には効果があります。
Q. 大人がスマホ依存を自覚する方法は?
A. iPhoneのスクリーンタイム、AndroidのDigital Wellbeingで1週間の平均利用時間を確認してみてください。想像より多いと感じたら、まずはSNSの通知オフから始めるのがおすすめです。
まとめ:やめるのではなく「減らす」という選択
今回はインターネット依存症について、特に以下の2点をまとめました。
- 依存症とは何なのか(仕組みと脳科学)
- 依存症にならないためのインターネットとの付き合い方3つのルール
薬物やギャンブルと違い、インターネットは生活に深く根付いているからこそ、誰もが依存症になりうる可能性を持っています。でも、だからといってインターネットのない生活には、もう戻れません。
だからこそ、私たちに必要なのは——インターネットと上手に付き合っていくこと。これに尽きると思います。
限られた時間をインターネットに支配されてしまわないように、大人も子どもも、今日から少しずつ環境を整えていきましょう。大人である私たち自身が、まずお手本になれますように。
以上、ダニエルでした。
おはようございます。現役教員のダニエルです。
情報モラル教育が始まり、学校現場では子どもたちのスマホやインターネットとの付き合い方を指導する機会がぐっと増えました。一方で、現場の先生方や保護者の方からはこんな声をよく聞きます。
- 「いろんな知識はあるけれど、結局どうしたらいいかわからず、禁止してしまう」
- 「うちの子、気づいたら何時間もスマホを見ている」
- 「そもそも大人の自分が、スマホをやめられない」
実際、株式会社ライボが行った「2022年 スマホ依存の実態調査」では、79.6%の人がスマホに依存していると回答しました。もはやスマホ依存は一部の人の問題ではなく、私たち全員のテーマです。
この記事でわかること – インターネット依存症の正体(行動嗜癖という仕組み) – なぜ子どもほど依存症になりやすいのか(脳の仕組み) – 依存症にならないための家庭で今日からできる3つのルール – 大人が子どもの鑑として意識したいこと
教員として子どもたちに指導している内容と、自分自身が実践している工夫を、保護者の方にも届くようにまとめました。親子で一緒にスマホとの距離を考えるきっかけにしていただければうれしいです。
インターネット依存症とは?大人も子どもも陥る「行動嗜癖」の正体
結論から言うと、インターネット依存症とは「特定の何かに心を奪われて、やめたくてもやめられない状態」のうち、特定の行動に対して起こるものです。
物質依存と行動嗜癖の違い
依存症には大きく2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 物質依存 | ある物質に対する依存 | アルコール依存症、薬物依存症 |
| 行動嗜癖(こうどうしへき) | 特定の行動や行為に対する依存 | ギャンブル依存症、インターネット依存症 |
インターネット依存症は「行動嗜癖」に分類されます。薬物などと違って物理的な中毒物質はないのに、スマホを触るという「行動」そのものが習慣化し、コントロールできなくなるのが特徴です。
スマホ依存は79.6%——データで見る現代の依存リスク
冒頭で紹介した通り、スマホ依存を自覚している人は約8割。これは「意志が弱い人だけの問題」ではなく、インターネットが生活に深く根付いた現代における、誰にでも起こり得る症状だということを示しています。
子どもに指導する前に、まず大人である私たち自身が「どうしたらうまく付き合えるのか」を知っておくことが、結果的に子どもを守ることにつながります。
なぜ「大切なもの」の優先順位が崩れてしまうのか
依存症になると、自分の人生の「大切なものランキング」が静かに崩れていきます。
私たちは誰もが、家族、友人、仕事、健康、趣味など、人生で大切にしているものを持っています。普段は意識していなくても、自分の中でなんとなく優先順位は決まっています。
しかし、インターネット依存症に陥ると、スマホや動画、SNSといった依存対象を無意識に最優先するようになり、本当に大切なものが後回しになっていきます。これが人間関係の悪化や、勉強・仕事のパフォーマンス低下につながっていくのです。
人間は「ご褒美までの時間」で行動を決める
ではなぜ、こんなにも簡単にランキングは崩れてしまうのでしょうか。
実は、人間は物事の重要性ではなく、ご褒美を手に入れるまでの時間で行動の優先順位を決めています。将来のために勉強したほうがいいとわかっていても、すぐに手に入る満足感を求めてスマホに手が伸びてしまう——誰しも経験があるはずです。
スマホゲームと勉強を脳科学で比較する
スマホゲームと勉強を比べると、脳が受け取る「ご褒美の速さ」の違いが一目瞭然です。
スマホゲームの場合 – すぐにレベルアップできる – ログインするだけでボーナスがもらえる – ゲーム仲間と一緒に遊ぶ満足感がある
勉強の場合 – レベルアップがいつ起きるか目に見えない – 毎日コツコツ積み重ねても何ももらえない – 一人で取り組むため孤独感がある
この差があるため、スマホは今すぐ、勉強は先延ばしという選択が、脳にとっては「合理的」になってしまうのです。
前頭前野と辺縁系——待てない脳の仕組み
もう少し脳科学的に踏み込むと、脳の中では2つの部位がせめぎ合っています。
- 前頭前野:理性や常識を掌り、将来の計画を立てる
- 辺縁系:感情や衝動を掌り、目の前の欲求を優先する
前頭前野がうまく機能していれば「今は我慢して勉強しよう」と判断できますが、辺縁系に主導権を奪われると「今すぐスマホ」に流されてしまいます。人間は本来、待つことが苦手な生き物なのです。
インターネット依存症による悪循環と子どもの脳への影響
インターネット依存症になると、次のような悪循環が生まれます。
- インターネットを使いすぎる → 就寝時刻が遅くなる
- 睡眠不足 → 日中のストレスが蓄積する
- ストレス → 不安感や恐怖心が増す
- 不安から逃れるために → またインターネットを使う
- さらに睡眠時間が削られる……
一度はまると、自分ではどうしようもなくなってしまうのが依存症の怖さです。
睡眠不足 → ストレス → 不安 → ネット依存のループ
しかも厄介なのは、この悪循環の一つひとつが前頭前野の働きを弱める要因になっていること。睡眠不足もストレスも不安も、理性を働かせる力を奪っていきます。結果として、「わかっているのにやめられない」状態がどんどん強化されていくのです。
14〜16歳の前頭前野に起こっていること
ここは特に、小学校高学年〜中学生の子どもを持つ保護者の方に知っておいてほしいポイントです。
10代のうちは、辺縁系に比べて前頭前野の働きが弱く、若者ほど目の前の欲求に対して衝動的な行動を取りやすいことがわかっています。そして14〜16歳の時期に、前頭前野のネットワークは周囲の環境の影響を受けて大きく変化します。
つまり、この時期にインターネットを使いすぎると、前頭前野がうまく成長しないまま大人になってしまうリスクがあるのです。だからこそ、学生のうちにインターネットとの付き合い方を学ぶことが、未来の自分を守るためにとても大切になります。
依存症になりやすい人の特徴は「意志の弱さ」ではない
「意志が弱い人」「だらしない人」が依存症になる——そんなイメージがあるかもしれませんが、実はそうとは言い切れません。真面目で責任感の強い人も、十分に依存症になり得ます。
大切なのは、「どんな人がなるか」ではなく「どうやったらなるのか」を知ること。そこを知っておけば、自分や子どもを環境から守る手立てが見えてきます。
自分の意志を変えるのはとても難しい。だから、環境を変えましょう。
インターネット依存症を防ぐ3つのルール【家庭で今日からできる】
ダイエットと同じで、大好きなものを急にゼロにするとリバウンドが待っています。これだけ生活に根付いた便利なインターネットをいきなり全部やめるのは、ほぼ不可能です。
だからこそ、やめるのではなく、「減らす」という考え方でインターネットと向き合いましょう。そのために必要な3つのルールがこちらです。
インターネット依存症を防ぐ3つのルール 1. 未来の自分のために環境を整える 2. 自分をコントロールする方法を身に付ける 3. 他者の存在を自分の力に変える
ルール1:未来の自分のために環境を整える(6つの具体策)
ポイント:どうでもいいことは遠ざけるか不快な環境で行い、大切なことほど楽にできるようにする。
意志の力に頼るのではなく、環境の力を使うのがコツです。
- 勉強中は机の上にスマホを置かない – テキサス大学の研究チームは、スマホが机の上にあるだけで勉強の効率が下がると報告しています。引き出しの中や別の部屋に置くだけで集中力が変わります。
- ネット・ゲームができる環境と不快な環境を組み合わせる – 自宅の中でもっとも不快な場所にネット環境やゲームを置くだけで、欲求が自然と抑えられます。
- 大切なことは手軽にできるように準備しておく – 勉強なら参考書やノートを机の上に開いたままにする、運動ならウェアとシューズを玄関に出しておく、など。
- 勉強する場所は最も快適な環境を選ぶ – 自宅で一番快適な場所を、一番大切な作業に割り当てましょう。
- SNSの通知はオフにする – 「いいね」やコメントの通知は、届くたびに集中力を奪います。通知オフは今日からできる最強の一手。
- 特定のサイトやアプリのアクセスに制限を設ける – Chromeなら拡張機能のWasteNoTime、iPhoneならスクリーンタイム、Androidならデジタルウェルビーイングが使えます。
ルール2:自分をコントロールする目標設定術
ポイント:具体的で細かい目標を立てて実行していく。
- スケジュールは短い単位で区切る – 「1ヶ月後までに○○する」など期限が遠いと、結局先延ばしになります。1週間や10日単位に分割すると、小さな達成感が積み重なります。
- 目標は「いつ・どこで・何をするか」まで具体化する – 「もっと勉強する」ではなく「19時から、自室で、テキストの◯ページを解く」のように行動レベルまで落とし込みます。
- スモールステップで始める – 人間は動き始めが一番エネルギーを使います。「寝る前に、とりあえず1ページだけ本を開く」のように、小さな一歩を設計しましょう。
- 順番は「行動 → ご褒美」に固定する – 「ゲームを1時間やったら勉強しよう」では絶対に勉強にたどり着きません。「勉強を1時間やったらゲームをする」の順番を守ります。
ルール3:他者の存在を自分の力に変える
ポイント:自分の逃げ場を自分でなくして、自分を追い込む。
- 周囲の人に目標を宣言する
- 私たちは「どう見られているか」を気にする生き物です。目標を宣言すると、見られているかもしれないというプレッシャーが強力なモチベーションになります。
- 特に「認めてほしい」と思う人に宣言する
- 家族、恋人、尊敬する先輩——自分が評価を気にする相手ほど効果は大きくなります。
子どもの場合は、保護者や担任が「見守っているよ」という立場で関わることで、このルールの効果が引き出せます。
大人は子どもの鑑——保護者と教員が意識したいこと
ここからは、教員としての現場感覚を踏まえて、保護者の方にお伝えしたいことを書きます。
子どもに言う前に、自分のスマホ時間を見直す
子どもにスマホのルールを守ってほしいと願うなら、まず大人である自分自身が「使う姿」を見直す必要があります。子どもは大人の言葉ではなく、大人の行動を鏡のように映して育ちます。
食事中にスマホを見ながら「ご飯のときはスマホ禁止ね」と言っても、子どもには届きません。大人は子どもの鑑。この言葉を、一緒にスクリーンタイムを確認する合言葉にしていただければと思います。
家庭でのスマホルールの作り方
家庭でルールを作るときは、次の3点を親子で一緒に決めるのがおすすめです。
- 使っていい時間帯(例:宿題が終わってから21時まで)
- 使ってはいけない場所(例:食卓、寝室)
- 破ったときの約束(例:翌日は30分短縮)
大人だけが決めて押し付けるのではなく、子ども自身が「自分で決めた」という感覚を持てることが、ルールを長続きさせる最大のコツです。
【FAQ】インターネット依存症に関するよくある質問
Q. 1日何時間以上で依存症と言えますか?
A. 時間だけで機械的に判定できるものではありません。「やめたくてもやめられない」「他の大切なことの優先順位が下がっている」と感じたら、依存のサインだと考えてください。
Q. 子どものスマホを取り上げるのはアリですか?
A. 一時的には効果があっても、リバウンドのリスクが大きいです。取り上げるよりも、本記事で紹介した「環境を整える」「ルールを具体化する」アプローチのほうが、長期的には効果があります。
Q. 大人がスマホ依存を自覚する方法は?
A. iPhoneのスクリーンタイム、AndroidのDigital Wellbeingで1週間の平均利用時間を確認してみてください。想像より多いと感じたら、まずはSNSの通知オフから始めるのがおすすめです。
まとめ:やめるのではなく「減らす」という選択
今回はインターネット依存症について、特に以下の2点をまとめました。
- 依存症とは何なのか(仕組みと脳科学)
- 依存症にならないためのインターネットとの付き合い方3つのルール
薬物やギャンブルと違い、インターネットは生活に深く根付いているからこそ、誰もが依存症になりうる可能性を持っています。でも、だからといってインターネットのない生活には、もう戻れません。
だからこそ、私たちに必要なのは——インターネットと上手に付き合っていくこと。これに尽きると思います。
限られた時間をインターネットに支配されてしまわないように、大人も子どもも、今日から少しずつ環境を整えていきましょう。大人である私たち自身が、まずお手本になれますように。
以上、ダニエルでした。



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