おはようございます!ダニエルです!
情報モラル教育が始まり、様々な場面で指導していることが多い先生方だと思います。
子どもたちにとっても、大人にとっても、切っても切れない関係にあるのがスマホなどのインターネット機器。
ある調査では、実に、79.6%の人がスマホに依存しているというデータもあるようです。
(「株式会社ライボ」が行った「2022年 スマホ依存の実態調査」)
大人も子どもも気を付けなければならない依存症ですが、
「いろんな知識はあるけれど、結局どうしたらいいかわからず、禁止してしまう」
という意見も聞きます。
そこで今回は以下の内容をまとめました。
- そもそも依存症とは何なのか
- なぜ子どもたちにたくさん指導しているのか
- 依存症にならないためにどうしたらいいのか
日々の生活をよりよくしていくためにも、自分自身の目標をかなえるためにも
上手にインターネットと付き合う方法を考えていきましょう。
そもそも依存症とは
依存症には種類があります。
物質依存と行動嗜癖です。
物質依存とは文字通り、ある物質に対する依存です。
例えば、アルコール依存症や薬物依存症などがこれに当たります。
一方、今回の内容であるインターネット依存症は行動嗜癖に当たります。
行動嗜癖とは特定の行動や行為に対する依存です。
例えば、ギャンブル依存症やインターネット依存症があります。
こういった「特定の何かに心を奪われて、やめたくてもやめられない状態になること」が依存症です。
大切なものランキングの崩壊
依存症になると、自分の人生の大切なものランキングが崩れてしまいます。
私たちは、誰もが、人生で大切にしているものがあります。
例えば、家族、友人、自分のための食事や運動など。
それらは普段意識していなくても、自分の中での優先順位はなんとなく決まっています。
しかし、依存症になると、インターネットなどの依存対象のものを優先するようになり(自分でもコントロールができなくなり)、他の優先順位が下がってしまいます。
そして、それが人間関係の悪化などの事態を招いてしまうことにつながります。
どうしてランキングが崩壊してしまうのか
人間は自分の行動の優先順位を
物事の重要性ではなく、ご褒美を手に入れるまでの時間で決めています。
例えば、今、将来のために勉強を始めればいいということはわかっていても
すぐに手に入れられる満足感を求めてスマホを使ってしまう
こういったことはだれしも経験があると思います。
これは、人間が本能的に将来の大きな成果よりも、
目の前の小さな満足感に価値があると感じてしまうということが関係しているのです。
スマホゲームであれば、
すぐにレベルアップができて、
ログインするだけでボーナスがもらえて、
ゲーム仲間と一緒に遊ぶ満足感があります。
一方、勉強は、
レベルアップはいつするかわからないし目に見えない、
毎日コツコツと積み重ねても何ももらえない、
一人で勉強することには孤独感が付きまとう
こういった違いがあります。
その結果、スマホゲームは今すぐするけれど、勉強は先延ばしにしようという考えになるのです。
そもそも人間は待つことが苦手
将来の成長よりも目の前の満足感を求めてしまうという話をしましたが、
そもそも、人間は待つことが苦手な生き物なのです。
脳内の働きとして、前頭前野と辺縁系という部分が深くかかわっています。
- 前頭前野は脳内でも理性や常識を掌る部分です。
- 辺縁系は脳内でも感情や衝動を掌る部分です。
前頭前野は将来の計画のために理性を働かせますが、辺縁系では、目先の欲求を優先しようと感情を働かせます。
つまり、前頭前野がうまく機能していないと、大切なことは後回しになってしまうということです。
インターネット依存症による悪循環
みなさんも想像がつく通り、インターネット依存症になると様々な心身の不調が引き起こされます。
例えば、睡眠不足、ストレス蓄積、運動不足、不安感、恐怖 など
たくさんの不調がありますが、これらは一つの症状だけが出るわけではありません。
インターネットを使いすぎることで就寝時刻が遅くなり、睡眠時間が削られます。
睡眠時間が削られることにより、日中のストレスがたまります。
ストレスにより、不安感や恐怖心が増します。
不安や恐怖から逃れるために、インターネットを使います。
インターネットを使うことで、また、睡眠時間を削ってしまいます。
こういった形で、どんどん悪循環に陥り、自分ではどうしようもなくなってしまうことになります。
さらに、先ほど、前頭前野が行動に関係していると言いましたが、
依存症によって引き起こされる症状はすべて前頭前野の働きを弱める要因となっているのです。
また、10代のうちは、辺縁系に比べて前頭前野の働きが弱いです。
そのため、若者ほど目の前の欲求に対して衝動的な行動をとりやすくなるのです。
特に14~16歳の時期に前頭前野のネットワークは周囲の環境の影響を受けて強く変化するので、
この時期にインターネットを使いすぎると前頭前野がうまく成長しない可能性があります。
だからこそ、学生のうちにインターネットとの付き合い方を学ぶことはとても大切になってくるのです。
依存症になりやすい人の特徴
今、若者ほど、衝動的な行動をとりやすいという話をしましたが、
依存症になりやすい人に何か特徴はあるのでしょうか?
イメージでいうと、
意志が弱い人やなまけてばかりの人、だらしない人は当てはまりそうですが、
こういった自制心がなく、意志が弱い人ばかりが依存症になるのかと言われるとそうではありません。
そして、大切なのは、「どんな人がなるか」ではなく、「どうやったらなるのか」ということです。
そこがわかれば、依存症にならないように、インターネットと付き合う方法も分かってきます。
自分は意志の弱い人間だから急に変われないという人もいるでしょうが、その気持ちわかります。
自分が変わることはとても難しいです。
なので、環境を変えていきましょう。
上手にインターネットと付き合う方法3選
ダイエットに取り組んだことのある人は想像しやすいと思いますが、
ダイエットをしようと思い、いきなり、食事制限をして体重が減っても、そのあとに待っているのは何ですか?
そうですね、リバウンドがあります。
インターネットも同じことかなと思います。
これだけ生活に根付いていて、周りの人がみんな使っている便利なものを、
いきなり、すべてをやめるというのはとても難しいし、ほぼ不可能だと思います。
だからこそ、やめるのではなく、「減らす」という考え方で、インターネットと向き合ってみてはどうでしょうか。
では、そのために必要なルールを3つ紹介します。
ルール1 未来の自分のために環境を整える
ルール2 自分をコントロールする方法を身に付ける
ルール3 他者の存在を自分の力に変える
ルール1 未来の自分のために環境を整える
ポイント
どうでもいいことは遠ざけるか不快な環境で行うようにし、大切なことほど楽にできるようにする
1 勉強中は机の上にスマホを置かない
・テキサス大学の研究チームが、スマホが机の上に載っているだけで勉強の効率を低下させることを報告した
2 インターネットやゲームができる環境と不快な環境を組み合わせる
・自宅の中で最も不快な場所にネット環境やゲームを置くだけで、欲求が抑えられる
3 大切なことは手軽にできるように環境を整える
・勉強をする場合:参考書やノートなど必要な道具をあらかじめ机の上に並べておき、学習するページも開いておく
・運動をする場合:トレーニングウェアやタオルなどは玄関に置いておき、シューズも出しておく
4 勉強する場所は最も快適な環境を選ぶ
・自宅の中で最も快適に過ごせる場所を大切な勉強や仕事のために使う
5 SNSの「いいね」やコメントの通知を見えないようにする
・SNSの通知が自動で届く設定にしていると反応してしまうので、通知をオフにしておく
6 特定のサイトやアプリへのアクセスに制限を設ける
・chromeブラウザならWasteNoTime、iPhoneならスクリーンタイム、Androidならデジタルウェブビーイングが使える
ルール2 自分をコントロールする方法を身に付ける
ポイント
具体的で細かい目標を立てて実行していく
1 スケジュールの立て方を工夫する
・「1か月後までに○○する」などの目標のように、期限が遠いと目先の遊びを優先してしまい、期限が近づいてから取り掛かることになる
・スケジュールは一週間や10日間といった短い単位で、課題を分割して立てることで、小さい目標を達成する満足感が得られる
2 目標を具体的にする
・「もっと勉強をする」といったぼんやりとした目標では、スケジュール通りにできなくても仕方ない
・「7時から、自室で、テキストの○ページをする」というふうに、具体的に「いつ、どこで、何をするか」を明確にした計画を立てるようにする
3 スモールステップ勉強法
・人間は動き始めが一番エネルギーを必要とするので、一度始めてしまえばあとは勝手に動くことができる
・「寝る前に、とりあえず1ページだけ本を開いてみよう」のように、先延ばししやすい行動ほど、小さいステップで、手軽にできる目標を立てるとよい
4 上手にできたら自分にご褒美を上げる(自己強化する)
・我慢ばかりしていると、やる気が続かないので、目標を達成できたら自分をほめたり、ご褒美を上げたりすることが大切
・しかし、「ゲームを1時間やったら勉強しよう」のように、先にご褒美があると目標に向かえない
・順番は「勉強を1時間やったらゲームをする」のように、目標達成→ご褒美
ルール3 他者の存在を自分の力に変える
ポイント
自分の逃げ場を自分でなくして自分を追い込む
1 周囲の人に自分の目標を宣言する
・私たちは自分がどう見られているかということを気にして生きている、さらに、人からの評価を下げたくない生き物なので、目標を宣言して誰かに見られているかもしれないという状況は強力なモチベーションになる
・特に自分が「認めてほしい」と思う人に対して、目標を宣言すると最も効果的になる
まとめ
今回は特にインターネット依存症に関して、
- 依存症とは何なのか
- 依存症にならないためのインターネットとの付き合い方
大きくこの2点についてまとめてみました。
薬物やギャンブルなどの、他の依存症の原因のものとは違い、
インターネットは生活に深く根付いているものだからこそ、
誰もが依存症になりうる可能性を持っています。
でも、だからといって、インターネットのない生活にはもう戻れません。
だからこそ、私たちに必要なのは、インターネットと上手に付き合っていくこと
これに尽きると思います。
今回の記事を通して、少しでも皆さんの生活が豊かになればうれしいです。
限られている時間をインターネットに支配されてしまわないように、
私たちも気を付けていきましょう。
以上、ダニエルでした。
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