教員の手取りは額面の何割?経験年数別の推移と給与明細の読み方

窓辺の机に置かれた給与明細ふうの紙と電卓、開いた手帳とコーヒーの水彩イラスト 先生のリアル

手取りが、思っていたより少ない。額面と振り込まれた額の差は、給与明細の控除欄に書いてあります。ただ、その控除欄がまず読めません。

私もそうでした。給与明細は、正直すべてが「これ何?」でした。金額しか見ていませんでした。

教員の手取りは、額面のおよそ75〜80%が目安です。引かれるもののうち、自分で金額を出せるのは共済組合の掛金だけでした。共済組合の掛金は、会社員でいう健康保険料や年金にあたるお金です。率が公表されているので、額面の約15%と計算できます。

残りは所得税と住民税です。この2つは、扶養している家族の人数や去年の収入で変わります。だから「額面がいくらなら手取りはいくら」と、1枚の表で言い切ることはできません。

明細から引かれるものが何なのかを、率が公表されているものと、そうでないものに分けて整理しました。経験年数が上がると給料がどう動くかも、総務省の統計で確かめました。

明細のどの項目が何なのかを知りたい方は給与明細の控除欄を上から順に見るへ。自分の経験年数のところだけ見たい方は経験年数が上がると、給料はこう動くへ。いま手取りが少なくて苦しい方は手取りが少ないと感じたときに確認することへ。これから教員になる方は、この記事の平均より初任給のほうが自分に近いので、初任給から手取りまでを47都道府県分まとめた記事へ先に進んでください。

※ 総務省・国税庁・人事院・公立学校共済組合の公開資料と法令をもとに作成(2026年8月21日確認)。私は元・公立小学校の正規教員で、現在は小学校の非常勤講師です。

教員の手取りは額面の75〜80%が目安です

額面411,965円から共済組合の掛金と所得税・住民税が引かれ、手取りは額面の75〜80%になることを示した帯の図
額面から引かれるものと、手取りの目安

引かれる前の額:小・中学校の教員で月411,965円

総務省の令和6年の調査では、小・中学校教育職の平均給与月額は411,965円でした。これは引かれる前の額です。内訳は、給料そのものが353,632円、月ごとの手当が58,333円。平均年齢は41.5歳です。

高等学校教育職は、平均給与月額が433,141円(平均給料月額370,300円+諸手当月額62,841円)、平均年齢44.7歳でした。

この月ごとの手当(諸手当月額)は、扶養手当・地域手当・住居手当・特殊勤務手当・時間外勤務手当などの合計です。期末手当と勤勉手当、つまり年2回のボーナスは入っていません。ボーナスは、この41万円とは別に振り込まれます。

もうひとつ、41万円は小学校の先生だけの平均ではありません。総務省の注記では、「小・中学校教育職」に幼稚園の教員が含まれ、「高等学校教育職」には特別支援学校と専修・各種学校の教員が含まれます。

自分の額面と見比べるときは、これが誰の平均なのかを頭に置いてください。

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(令和6年12月26日公表)p.7 第9表・p.6 第8表の注記
https://www.soumu.go.jp/main_content/000983537.pdf (2026年8月21日確認)

自分で計算できるのは、共済組合の掛金の約15%まで

給料から引かれるものを1つずつ調べていくと、率がはっきり公表されていて自分でも計算できるのは、共済組合の掛金だけでした。この率のことを掛金率といいます。

給料から引かれるものを、率が公表されているもの・人によって変わるもの・職場ごとに決まるものの3つに分けた図
引かれるものは3つに分けられます
表1:給与から引かれるものと、その率(共済の掛金は令和8年4月現在の率)
引かれるもの 率・決まり方 出典
短期掛金(医療分) 1,000分の46.60(約4.66%) 公立学校共済組合「掛金等の徴収」(令和8年4月現在)
福祉事業掛金 1,000分の1.41(約0.14%)。明細では短期掛金に合算表示
子ども・子育て支援掛金 1,000分の1.15(約0.12%)。令和8年4月分の給与から徴収開始
厚生年金保険料 1,000分の91.50(約9.15%)
年金払い退職給付掛金 1,000分の7.5(0.75%)
介護掛金 1,000分の7.88(約0.79%)。40歳に達した月から
所得税 所得が多いほど税率が上がる仕組み(超過累進)で、課税所得に応じて5〜45%。実際の天引き額は扶養の人数などで決まる。復興特別所得税も併せて納付 国税庁 No.2260 所得税の税率
住民税 所得割(所得に応じてかかる分)は前年の所得に対して10%(道府県民税4%・市町村民税6%/指定都市は2%・8%)。均等割(所得に関係なく定額でかかる分)は標準税率で年4,000円(道府県民税1,000円+市町村民税3,000円)、これに森林環境税1,000円が加わる。自治体によっては独自の上乗せがある 総務省「個人住民税」
互助会費・職員団体の会費など 自治体・団体ごとに定めるため、全国共通の公表された率は、調べた範囲では見つかりません

表1の掛金率は、組合員本人が負担する分です。掛金は「標準報酬の月額」にこの率を掛けて計算します。標準報酬の月額とは、給料を等級表の区分に当てはめた額のことで、明細の額面そのものではありません。掛金率は全国一律です。健康保険のように都道府県で変わる仕組みではありません。

全部足すと、40歳未満で1,000分の148.16、介護掛金が始まる40歳以上で1,000分の156.04。パーセントに直すと約14.8%と約15.6%です。税金の話に入る前に、ここまではもう決まっています。

額面が41万円くらいの人なら、共済の掛金だけで月6万1千円から6万4千円ほど。額面30万円くらいなら、およそ4万4千円から4万7千円です。どちらも公表されている掛金率を掛けただけの概算で、実際に引かれる額ではありません。掛金のもとになるのは標準報酬の月額なので、明細の数字とぴったり同じにはなりません。

上限もあります。厚生年金保険料と年金払い退職給付掛金は標準報酬の月額650,000円まで、短期掛金・介護掛金・福祉事業掛金・子ども・子育て支援掛金は1,390,000円までが計算の対象です。

出典:公立学校共済組合「掛金等の徴収」(掛金率は令和8年4月現在)

(2026年8月21日確認)

所得税と住民税は、税率を1つに決められません

所得税と住民税は、同じ額面でも人によって変わります。扶養している家族が何人いるか、生命保険料控除をいくら申告しているか、住宅ローン控除があるか。住民税にいたっては、去年いくら稼いだかで決まります。

だから「額面◯円なら手取り◯円」という早見表は作れません。他人の平均から逆算した数字は、自分の口座に振り込まれる額とは別物です。

それでも、目安はあります。共済の掛金で約15%が決まっていて、そこに所得税と住民税が加わる。よく言われる「手取りは額面の75〜80%」は、確かめられた掛金率と突き合わせても大きくは外れていません。平均給与月額411,965円に当てはめると、おおむね30万円台前半です。扶養している家族が多い人ほど税金が軽くなるので上寄りに、扶養している家族がいない人ほど下寄りに振れます。

この金額は、平均に目安の率を掛けただけの数字です。誰かが実際に受け取った額ではありません。自分の手取りを知る方法は1つだけ。直近の明細で、支給欄の合計から控除欄の合計を引くことです。

給与明細の控除欄を、上から順に開く

控除欄に並ぶ項目は、大きく分けると3種類です。共済組合の掛金、税金、それから職場ごとの会費。やっかいなのは、この3つが名前だけでは見分けられないことです。手元に明細があれば、控除欄と見比べながら読んでください。

「短期掛金」の中には、2つ入っています

明細に「短期掛金」と書かれている項目は、医療にあたる短期掛金と、福祉事業掛金を合算したものです。公立学校共済組合の説明に、そのとおり書かれています。項目は1つしかないのに、中身は性質の違うお金が2つ。ここが最初のわかりにくいところです。

短期掛金1,000分の46.60のうち1,000分の17.26が特定保険料に相当する掛金であることを示した帯の図
「短期掛金」の中身

さらに、その短期掛金のうち1,000分の17.26は「特定保険料に相当する掛金」で、全国の高齢者の医療を支えるための支援金などに充てられます。短期掛金46.60のうち17.26ですから、およそ4割(37%)にあたります。自分の医療費のためだけに引かれているお金ではありません。

年金は2つの項目に分かれます。厚生年金保険料(1,000分の91.50)と、年金払い退職給付掛金(1,000分の7.5)です。共済年金が厚生年金に一元化されたあとの形で、年金払い退職給付掛金のほうが上乗せの部分です。

介護掛金は、40歳に達した月から始まります。誕生日を境に手取りが少し減るのは、この項目が増えるからです。

令和8年4月から、項目が1つ増えました

2026年4月分の給与から、「子ども・子育て支援掛金」(1,000分の1.15)の徴収が始まっています。短期掛金と一緒に引かれます。

掛金率としては小さいのですが、明細を見比べて「去年より少し引かれている」と感じたなら、この項目が理由の1つです。

所得税は今年の見込み、住民税は去年の実績

所得税と住民税では、見ている時期が違います。

所得税は今年の給料をもとにその月に引かれ、住民税は去年の給料をもとに翌年から引かれることを示した時間軸の図
所得税と住民税が見ている年の違い

所得税は、その月の給与から見込みで天引きされ、年末調整で精算されます。税率は5%から45%まで。課税所得が多い人ほど高い税率がかかる、超過累進という仕組みです。2026年8月時点の国税庁の説明では、平成25年分から令和19年分までは復興特別所得税(原則として基準所得税額の2.1%)も併せて納めます。

住民税は、去年の自分に対する請求です。総務省の説明のとおり、前年の1月1日から12月31日までの所得をもとに額が決まります。いま明細から引かれている住民税も、計算のもとは去年の給料です。

金額は2つの部分でできています。1つは、所得に応じてかかる所得割です。税率は10%で、内訳は道府県民税4%と市町村民税6%(政令指定都市は道府県民税2%・市民税8%)。もう1つは、所得の多い少ないに関係なく定額でかかる均等割です。これに森林環境税が年額で加わります。

働き始めた年は、前年の所得がほとんどありません。だから住民税はほぼ引かれず、天引きが始まるのは翌年からです。2年目に「昇給したのに手取りが増えていない」と感じるのは、この時間差のせいです。

共済でも税金でもない、職場ごとに引かれるお金

ここからは私の勤務先での話です。全国の教員の明細が同じだという意味ではありません。

明細の内容がわかるようになってから、驚いたことが2つありました。

1つは、学校での飲み会代が明細から引かれていたこと。こんなふうに引かれているのか、と驚きました。もう1つは組合費です。年間にすると3万円近く。単純に、高いと感じました。

共済の掛金や税金は、決まった率が公表されていて、誰でも確かめられます。でも互助会費や職員団体の会費、親睦会の費用には、そういう一覧表がありません。自治体や学校、そして自分がどの団体に入っているかで、金額が変わります。

自分の明細の控除欄に、共済の掛金・所得税・住民税のどれでもない項目があったら、それが職場ごとに引かれているお金です。名前と金額だけでも、一度確かめておく価値はあります。

教員の明細に、雇用保険料の項目はありません

民間企業の明細にはあって、教員の明細にはない項目があります。雇用保険料です。

雇用保険法第6条に、雇用保険に入らない人(適用除外)が列挙されています。その6号が対象にしているのは、国・都道府県・市町村などに雇用される人。離職したときに他の法令や条例で受け取れる給与が、雇用保険の求職者給付・就職促進給付より手厚いと認められる人です。その範囲は厚生労働省令で決まります。

条文が「厚生労働省令で定めるもの」と条件つきなので、自分が当てはまるかどうかは、勤務先の事務担当者に確かめるのが確実です。ただ、明細に雇用保険料の項目がないのには、こういう法律上の理由があります。

出典:雇用保険法(昭和49年法律第116号)https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 /国税庁「No.2260 所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm /総務省「個人住民税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html (いずれも2026年8月21日確認)

経験年数が上がると、給料はこう動く

自分の経験年数のところから見てください。総務省の統計に、経験年数の区分ごとの平均給料月額が載っています。令和6年4月1日現在の数字です。上から下まで追っていくと、増え方が途中で変わるのがわかります。

この表は手当を含まない「給料」の額です。地域手当や住居手当は入っていません。

表2:経験年数別の平均給料月額(小・中学校教育職。総務省・令和6年4月1日現在/全地方公共団体・学歴計)
経験年数 おおよその年齢 平均給料月額
1年未満 22〜23歳 235,445円
1年以上2年未満 23〜24歳 241,777円
2年以上3年未満 24〜25歳 248,439円
3年以上5年未満 25〜27歳 261,554円
5年以上7年未満 27〜29歳 281,043円
7年以上10年未満 29〜32歳 303,921円
10年以上15年未満 32〜37歳 339,554円
15年以上20年未満 37〜42歳 377,837円
20年以上25年未満 42〜47歳 404,426円
25年以上30年未満 47〜52歳 421,221円
30年以上35年未満 52〜57歳 429,699円
35年以上 57歳〜 376,156円
合計 354,774円
平均経験年数 18.5年
経験年数別の平均給料月額を12区分の棒グラフにした図。30年以上35年未満が最も高く、35年以上で下がる
経験年数別の平均給料月額

表注:年齢は目安です。採用された年齢や、講師として働いた期間があるかどうかで前後します。集計されている職員数は合計592,703人。高等学校教育職も、経験20年未満の区分ではほぼ同じ水準です(差は最大1,450円)。20年を超えると高校のほうが4千円〜7千円ほど高く、35年以上では逆に小中のほうが約1万4千円高くなります。

出典:総務省「令和6年地方公務員給与の実態」第6表 職種別、経験年数別、学歴別職員数及び平均給料月額(p.296・(1)全地方公共団体)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/R6_kyuyo_1_03-3.pdf /統計表の一覧は https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/r06_kyuuyo_1.html (いずれも2026年8月21日確認)

この表で読み違えやすいところ

1つめ。これは「給料」であって「額面」ではありません。

記事の最初に出した411,965円は、給料に月ごとの手当を足した額でした。表2の金額は、そのうち給料の部分だけです。自分の額面と直接比べると、手当の分だけ少なく見えます。

この「給料」には、教職調整額なども含まれています。総務省の結果概要(p.7 第9表の注記)に「平均給料月額には、給料の調整額、教職調整額及び管理監督職勤務上限年齢調整額を含む」とあります。ただし第6表そのものには注記がないため、まったく同じ定義かどうかは確かめられていません。数字は令和6年4月1日現在のもので、教職調整額の引き上げが始まる前の時点です。

2つめ。増え方は一定ではありません。

1年未満の235,445円から、10年以上15年未満の339,554円まで、10万円ほど上がります。ここまでは1年あたり1万円前後のペースです。ところが20年以上25年未満(404,426円)から先は、25年以上30年未満で421,221円、30年以上35年未満で429,699円と、伸びが目に見えて鈍ります。

給料表は、1段ずつ上がっていく仕組みです(この1段を号給といいます)。上の級に上がらないかぎり、上のほうでは1段あたりの金額の差が小さくなっていきます。20年を過ぎたあたりで「働いても給料が増えない」と感じるのは、気のせいではありません。

私自身は、正規として7年で現場を離れました。だから20年から先は、実感ではなく統計の読み取りとして書いています。

3つめ。35年以上で下がるのは、別の人が混ざっているからです。

表を上から追っていくと、35年以上のところで376,156円まで下がります。ここだけ動きが違います。

第6表の注記に「学歴計は暫定再任用職員を含む」とあります。暫定再任用職員とは、定年後にあらためて任用された人のことです。同じ表の大学卒だけの列を見ると、35年以上は405,276円。定年後に再び任用された人が学歴計に入っている分、平均が押し下げられています。

ただし、大学卒の列だけで見ても、30年以上35年未満の431,454円から35年以上の405,276円へ下がります。暫定再任用が混ざっていることだけで全部は説明できません。ここから先の理由は、この表からは読み取れませんでした。

この表に載っていない働き方もあります

表2に並んでいるのは、月給で働く常勤の職員です。

私はいま小学校の非常勤講師です。常勤だったころとの一番の違いは、時給か月給か。私の場合、時給で働いているので、給料表の号給という考え方がそもそも当てはまりません。だから、この表の金額と自分の明細がまったく違っていても、おかしくはありません。

地域手当・扶養手当・住居手当・教職調整額で、額面は変わります

勤務地が違うだけで、月7万円の差がつきます

総務省の令和6年の調査では、小・中学校教育職の地域手当は、都道府県計で月20,345円。東京都は70,336円で、支給が「該当なし」の県も14あります。この差がそのまま額面の差になり、手取りの差になります。勤務する自治体が違うだけで、ここまで差がつきます。自分がいくら受け取っているかは、明細の支給欄に地域手当の項目があれば、そこに出ています。

都道府県ごとの金額と、順位表がなぜ実感とずれるのかは、教員の給料と地域手当を47都道府県で比べた記事にまとめてあります。

扶養手当と住居手当は、額面と税金の両方を動かします

国の基準では、扶養手当は子1人につき月13,000円(16歳の年度初めから22歳の年度末までの子には5,000円の加算)、住居手当は借家に住む職員で最高28,000円です。いずれも人事院が公表している令和8年4月現在の額で、地方公務員の額は各自治体の条例で決まるため、同じとは限りません。

この2つは、支給欄を増やすだけでなく、税額にも効きます。扶養している家族が増えれば、所得税と住民税の控除も増えるからです。

教職調整額は2026年から段階的に上がっています

教職調整額は、時間外勤務手当の代わりに給料月額へ上乗せされるお金です。働いた時間に応じて増えるわけではありません。国の基準は、2026年(令和8年)は5%です。

根拠は給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)です。本則は、給料月額の百分の十(幼稚園の教育職員は百分の四)を基準に、条例で定めるところにより教職調整額を支給する、と定めています。ただし、いきなり10%になるわけではありません。附則に経過措置があり、令和8年1月1日から同年12月31日までは百分の五、令和9年は百分の六、令和10年は百分の七、令和11年は百分の八、令和12年は百分の九と、1年ごとに1ポイントずつ上がっていきます。

実際の支給率は各自治体の条例で決まるので、自分の自治体の条例を確認してください。上乗せされた分にも共済の掛金と税金がかかるため、上がった分がまるごと手取りになるわけではありません。

出典:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和46年法律第77号・最終改正 令和7年6月18日法律第68号)第3条第1項および附則 https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000077 /人事院「国家公務員の諸手当の概要」(令和8年4月現在)https://www.jinji.go.jp/content/000013374.pdf (いずれも2026年8月21日確認)

手取りが少ないと感じたときに確認すること

控除欄でわかること

手取りが少ないと感じたら、まず自分の明細の控除欄を見てください。

支給欄の合計が額面、そこから控除欄の合計を引いた残りが手取りです。この2つの数字だけで、差額がいくらかがその場でわかります。控除欄をもう一段くわしく見れば、何にいくら引かれているかも出てきます。共済の掛金・所得税・住民税で説明がつかない項目があれば、それが職場ごとの会費です。

2年目に増えるのは、たいてい住民税です

昇給したはずなのに手取りが増えていない。2年目にこれが起きるのは、住民税が前年の所得で決まるからです。1年目と2年目の具体的な差は、1年目と2年目で手取りの引かれ方がどう変わるかを書いた記事にあります。

比べたときに、こたえました

私が手取りで落ち込んだのは、他の自治体や他の職業と比べたときでした。こんなに働いているのに、これだけしかもらえないのか。そう思いました。

同じ仕事をしていても、勤務地が違えば地域手当が変わります。小・中学校教育職の平均には幼稚園の教員も入っています。比べる相手の条件は、そもそもそろっていません。それでも、比べたときの落ち込みは消えません。

私がやったこと

正規で働いていたころは、節約とポイ活、それに投資をしていました。副業を始めたのは、教員を辞めたあとです。最初はライティング系からでした。

引かれるものを減らすより、入ってくるお金を増やすか、出ていくお金を減らすほうが現実的でした。共済の掛金率は自分では動かせません。所得税と住民税は控除の使い方で多少変わりますが、額面が同じなら動く幅は限られます。

振り返ってみて、いちばん手取りの足しになったと感じるのは投資です。ただ、増えるまでに時間がかかりますし、減る時期もあります。私の場合の話として読んでください。始め方は教員が新NISAでリスクを抑えて投資を始める方法に、家計の見直し方は非常勤講師が実践する節約・貯金術7選にまとめました。

いま教壇に立ったまま副業を考えているなら、先に副業の制限を確かめてください。私が副業を始めたのは辞めたあとなので、この制限はかかりませんでした。何ができて何ができないかは、教員の副業と処分の境界線を整理した記事に書きました。

どれも、いますぐ全部やる必要はありません。明細を1枚開くところまでで、今日は十分です。

初任給の手取りは、別の記事にまとめました

これから教員になる方、いま1年目の方は、この記事の平均よりも初任給のほうが自分に近いはずです。

47都道府県の初任給の一覧と、そこに教職調整額・地域手当・期末勤勉手当が加わり、控除が引かれて手取りになるまでの流れは、教員の初任給と、手取りになるまでの引き算をまとめた記事にまとめてあります。私の初任のころの額面と手取りの実額も、そちらに書きました。

よくある質問

Q1. 教員の手取りは額面の何割ですか?

およそ75〜80%が目安です。ただし、はっきり確かめられるのは共済組合の掛金率で、40歳未満で約14.8%、介護掛金が始まる40歳以上で約15.6%(令和8年4月現在の率・全国一律)。ここに所得税と住民税が加わりますが、この2つは扶養している家族の人数や前年の所得で変わるため、一律の率は出せません。

Q2. 教員の給与明細では、何が引かれていますか?

共済組合の掛金(短期掛金・介護掛金・厚生年金保険料・年金払い退職給付掛金)、所得税、住民税が主なものです。このほか、自治体や学校によっては互助会費や職員団体の会費が引かれます。明細の「短期掛金」の項目には、医療分の短期掛金と福祉事業掛金が合算して表示されます。

Q3. ボーナスからも同じだけ引かれますか?

共済の掛金と所得税は引かれますが、住民税は引かれません。共済の掛金は「標準期末手当等の額×掛金等の率」で計算されると公立学校共済組合が説明しています。所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算されると国税庁が説明しています。住民税だけ引かれないのは、地方税法が、年税額の12分の1を6月から翌年5月まで毎月の給与から徴収すると定めているためです。

Q4. 経験年数が上がると給料はどのくらい増えますか?

総務省の令和6年の調査(小・中学校教育職・全地方公共団体・学歴計)では、平均給料月額は経験1年未満で235,445円、10年以上15年未満で339,554円、20年以上25年未満で404,426円、30年以上35年未満で429,699円です。20年を過ぎたあたりから伸びが鈍ります。

Q5. 40歳になると手取りが減るのはなぜですか?

介護掛金(1,000分の7.88)が、40歳に達した月から徴収されるためです。額面が変わらないまま控除の項目が1つ増えるので、その分だけ手取りが下がります。

Q6. 教職調整額はいま何%で、手取りにどう影響しますか?

給特法の附則により、国の基準は令和8年1月1日から同年12月31日までが百分の五です。以後1年ごとに1ポイントずつ上がり、令和12年は百分の九になります。実際の支給率は各自治体の条例で決まります。教職調整額は給料月額への上乗せなので、共済の掛金も所得税・住民税も、この上乗せを含んだ額に対してかかります。

Q7. 病気休暇や休職に入ると、手取りはどうなりますか?

支給される給与の割合が変わり、それに応じて引かれる額も変わります。病気休暇と病気休職では扱いが違い、期間によっても変わります。詳しくは、教員の休職中の給与・手当がどうなるかを整理した記事にまとめました。

まとめ

  • 教員の手取りは、額面のおよそ75〜80%が目安です。はっきり確かめられるのは共済組合の掛金率で、40歳未満で約14.8%、40歳以上で約15.6%(令和8年4月現在・全国一律)。
  • 額面は、小・中学校教育職の平均給与月額が411,965円、高等学校教育職が433,141円(総務省・令和6年)。ボーナスはこの中に入っていません。
  • 経験年数別の平均給料月額は、1年未満の235,445円から30年以上35年未満の429,699円まで。20年を過ぎると伸びが鈍り、35年以上の区分が下がるのは暫定再任用職員が混ざっているためです。
  • 教職調整額は、給特法の附則により2026年(令和8年)の国の基準が5%。以後1年ごとに1ポイントずつ上がります。上乗せ分にも掛金と税金がかかります。

次に読むなら

今日やるなら、これ1つ

直近の給与明細を1枚だけ開いて、控除欄の合計と支給欄の合計を見比べてください。1分で終わります。

控除欄でいちばん大きいのは、たいてい共済の掛金です(額面の約15%)。残りが税金と、職場ごとの会費。そこまでわかれば、この記事に出したどの平均より、自分に近い数字が手に入ります。

明細をまだ持っていない方は、初任給から手取りまでを47都道府県分まとめた記事のほうが自分の数字に近いです。

明細を見るのがしんどい時期なら、引き出しに戻して構いません。必要になったときに、ここに戻ってきてもらえれば十分です。

書いた人:元・公立小学校の正規教員。休職・退職を経て、現在は小学校の非常勤講師をしています。プロフィールは著者プロフィールをご覧ください。
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