教員の給料はいくら?47都道府県ランキングと、額面では見えない手取りの話

朝の光が差し込む机の上に置かれた給与明細のような書類と電卓、開いたノート — 教員の給料を確かめる場面 先生のリアル

同僚に「そっち、いくらもらってる?」とは聞けない。給料は、身近な人ほど確かめにくいお金です。教員なら、なおさらだと思います。

この記事では、総務省と文部科学省が公表している数字をもとに、47都道府県の教員の給料を並べました(2026年8月3日確認)。順位表の読み方と、その順位をそのまま自分に当てはめられない理由まで書いています。自分の県の実額を調べる手順も置いたので、平均と自分がずれていても、その理由まで含めて持ち帰ってもらえるはずです。

私が給料の話でまっさきに思い浮かべるのは、残業代です。正確には、ほぼ出ないという現状のほうです。

これから教員になる人は、目次から「これから教員になる人へ:初任給の話」に飛んで構いません。給料が割に合っているかを労働時間で割り戻した記事は別にあります(数字の出どころが令和4年時点なので、金額はこの記事のほうが新しいです)。
教員の給料を時給に割り戻して考えた話

小・中学校の教員の平均給料は月356,431円、手当を入れた基本給は月383,365円

総務省の令和6年の調査では、小学校・中学校の教員(都道府県が給与を負担する分。幼稚園の教員を含む区分です)の平均は、給料が月356,431円、これに扶養手当と地域手当を足した基本給が月383,365円。集計されているのは478,750人です。

高校の教員(同じく都道府県分。特別支援学校と専修・各種学校の教員を含む区分)は、給料が月370,607円、基本給が月398,565円。こちらは221,473人分の平均になります。

数字が2つ並ぶのは、「給料」と「基本給」が別物だからです。ここを混ぜたまま読むと、あとで出てくる順位表を読み間違えます。

呼び方 中身
給料 各自治体の給料表で決まる、いちばん土台の額
基本給 給料+扶養手当+地域手当(総務省の第5表は、この3つの合計を「基本給」として集計)
給与 基本給に、住居手当・通勤手当などの諸手当まで足した支給総額を指して使われる言葉

上の表に出てくる2つの手当を、先に一行ずつ。扶養手当は、扶養している家族がいる職員に支給される手当です。地域手当は、民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当で、勤務地によって金額が変わります(人事院「国家公務員の給与制度の概要」の説明。地方公務員の地域手当は各自治体の条例で決まります)。この地域手当が、あとで順位表をひっくり返します。

総務省の第5表にある列は、職員数・基本給・給料・扶養手当・地域手当の5つだけです。住居手当も通勤手当も列がありません。

なお、この記事で「額面」と書いているときは、税や共済の掛金が引かれる前の支給額を指しています。

年収の出し方:自分の県の実額を1回で調べる

年収の形はシンプルです。

年収 = 月額 × 12 + 期末勤勉手当

必要なのは2つだけ。どちらも公開されています。

  1. 志望先・勤務先の都道府県(または指定都市)の給与条例。期末勤勉手当の支給月数(ボーナスが月給の何か月分か)が書かれています
  2. 同じ自治体の教育職給料表。条例の別表にあり、自分の級・号給の給料月額が載っています。小中学校用と高校用で分かれていることがあります

自治体のサイトで「給与条例」「給料表」と検索すると、たいてい見つかります。条例の名前は自治体によって違うので、例規集(条例や規則をまとめたページ)から探すのが確実です。この2つを開けば、平均ではなく自分の数字が出ます。

なお、期末勤勉手当の支給月数を今回そろえられなかったため、この記事では年収の金額そのものは出していません。

47都道府県ランキング:あなたの県は何位か

先に上と下だけ書きます。小・中学校の基本給が高いのは東京都(416,906円)・大阪府(398,728円)・神奈川県(397,286円)・兵庫県(395,224円)・愛知県(394,750円)。低いほうは愛媛県(354,018円)・佐賀県(356,751円)・石川県(359,532円)・大分県(360,313円)・富山県(361,430円)です。1位と47位の差は62,888円(416,906円-354,018円)。

高校は上位が東京都(426,899円)・新潟県(413,603円)・愛知県(413,148円)・三重県(408,429円)・兵庫県(407,693円)。下位は愛媛県(369,443円)・富山県(378,034円)・岐阜県(378,746円)・石川県(379,834円)・長野県(382,867円)。1位と47位の差は57,456円です。

表を見る前に、2つだけ先に言っておきます。

ひとつ。東京都は基本給1位ですが、地域手当を除いた「給料」だけで見ると、小中では47都道府県の最下位です。 もうひとつ。小中の上位は大都市圏が並ぶのに、高校では新潟県が2位、秋田県が6位に入ります。「都会だから高い」では説明がつきません。どちらも理由は表のあとの章で書きます。

小学校・中学校の教員(幼稚園を含む区分)

単位は円です。基本給月額=給料+扶養手当+地域手当。扶養手当の列は、表が横に伸びすぎるため省いています(給料と地域手当を足しても基本給月額にはなりません)。いちばん下の「都道府県計」は、47都道府県の平均です。

順位 都道府県 基本給月額 うち給料 地域手当
1 東京都 416,906 341,300 70,336
2 大阪府 398,728 348,200 42,600
3 神奈川県 397,286 346,200 43,900
4 兵庫県 395,224 362,200 25,200
5 愛知県 394,750 356,900 31,287
6 静岡県 388,326 367,100 14,000
7 埼玉県 388,068 352,000 30,271
8 千葉県 386,472 347,800 33,000
9 三重県 382,843 359,200 17,400
10 長野県 382,165 368,100 6,492
11 青森県 382,016 375,200 該当なし
12 岩手県 381,966 375,100 該当なし
13 福島県 381,892 375,600 該当なし
14 北海道 381,739 373,800 25
15 京都府 380,362 356,100 16,684
16 滋賀県 379,368 350,800 21,900
17 群馬県 378,845 362,900 9,399
18 秋田県 378,635 372,800 該当なし
19 鹿児島県 378,041 369,100 該当なし
20 茨城県 377,761 350,700 21,660
21 岐阜県 375,858 362,200 7,091
22 栃木県 375,793 357,300 12,900
23 奈良県 375,624 345,900 22,067
24 新潟県 374,088 367,200 3
25 長崎県 373,437 363,800 2,511
26 宮城県 372,576 361,000 5,900
27 熊本県 372,431 364,800 該当なし
28 徳島県 372,049 359,400 6,285
29 沖縄県 371,590 361,700 該当なし
30 鳥取県 370,597 362,700 該当なし
31 福岡県 369,532 357,200 6,392
32 山梨県 369,362 353,600 10,091
33 山形県 369,340 363,300 該当なし
34 香川県 368,725 351,200 11,586
35 福井県 368,662 357,400 5,196
36 広島県 367,859 350,000 11,900
37 島根県 366,779 359,900 該当なし
38 和歌山県 366,305 349,500 10,000
39 宮崎県 365,349 358,500 該当なし
40 山口県 364,741 358,000 600
41 高知県 363,701 357,700 16
42 岡山県 362,332 355,700 41
43 富山県 361,430 351,700 4,214
44 大分県 360,313 353,900 該当なし
45 石川県 359,532 349,100 4,378
46 佐賀県 356,751 350,700 該当なし
47 愛媛県 354,018 347,900 該当なし
都道府県計(478,750人) 383,365 356,431 20,345

出典:総務省「令和6年 地方公務員給与実態調査(補充調査)」第5表 職種別職員の平均基本給月額/2 都道府県別・団体区分「(1)都道府県-小・中学校(幼稚園)教育職」(調査時点 令和6年4月1日現在)。統計表は総務省 令和6年 地方公務員給与実態調査(補充調査)の統計表一覧から確認できます。

高校の教員(特別支援学校・専修各種学校を含む区分)

小中と高校で、1位(東京都)と47位(愛媛県)は同じ顔ぶれです。見出しを読み飛ばすと同じ表に見えてしまうので、金額を比べるときは、校種を先に確かめると取り違えません。単位・列の作りは上の表と同じで、扶養手当の列は省いています。

順位 都道府県 基本給月額 うち給料 地域手当
1 東京都 426,899 350,200 71,391
2 新潟県 413,603 399,000 5,789
3 愛知県 413,148 373,200 32,700
4 三重県 408,429 382,000 18,500
5 兵庫県 407,693 372,400 27,200
6 秋田県 406,721 397,500 該当なし
7 静岡県 406,174 383,300 14,600
8 大阪府 406,047 355,600 43,100
9 福島県 403,888 395,400 18
10 滋賀県 403,355 372,400 23,200
11 宮城県 402,311 384,200 10,200
12 沖縄県 401,382 389,100 該当なし
13 茨城県 401,191 371,000 22,793
14 香川県 400,404 380,500 12,500
15 埼玉県 399,282 362,200 31,000
16 和歌山県 398,700 376,700 13,400
17 山形県 398,556 389,900 該当なし
18 群馬県 398,268 379,800 9,800
19 山梨県 398,048 379,500 10,700
20 福岡県 397,895 369,700 20,500
21 熊本県 397,086 386,200 該当なし
22 栃木県 396,561 375,900 13,500
23 徳島県 396,283 381,900 6,700
24 鹿児島県 395,684 384,800 該当なし
25 福井県 394,747 380,800 5,495
26 広島県 394,175 371,300 15,500
27 鳥取県 394,016 384,700 該当なし
28 島根県 393,872 384,300 該当なし
29 北海道 392,561 381,100 3,020
30 岡山県 391,615 378,900 4,631
31 岩手県 391,610 383,400 該当なし
32 神奈川県 391,383 342,100 43,000
33 大分県 390,741 381,800 該当なし
34 京都府 387,831 358,500 22,500
35 佐賀県 387,407 378,500 該当なし
36 高知県 387,133 379,300 該当なし
37 長崎県 386,398 375,200 2,048
38 千葉県 386,181 347,700 32,700
39 奈良県 385,562 356,100 22,600
40 宮崎県 384,381 374,800 該当なし
41 青森県 384,198 376,100 該当なし
42 山口県 382,902 374,700 600
43 長野県 382,867 368,800 6,499
44 石川県 379,834 367,400 5,475
45 岐阜県 378,746 363,700 7,600
46 富山県 378,034 367,200 4,871
47 愛媛県 369,443 361,000 該当なし
都道府県計(221,473人) 398,565 370,607 20,286

出典:同上・団体区分「(1)都道府県-高等(特別支援・各種)学校教育職」。

この順位表には、4つの落とし穴があります

上の表を作っておいて言うのも変ですが、この順位を「自分の給料の順位」だと思って読むと、ほぼ確実にずれます。

落とし穴1:小学校の先生だけの平均ではない

総務省の表の職種名は、原文だと「小・中学校(幼稚園)教育職」。幼稚園の教員がこの区分に入っています。高校のほうは「高等(特別支援・各種)学校教育職」で、特別支援学校と専修・各種学校の教員が含まれます。

総務省も、同じ調査シリーズの前年分にあたる『令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要』(令和6年3月29日公表)のp.7 第9表の注記で、「小・中学校教育職」には幼稚園の教員を含む、「高等学校教育職」には特別支援学校、専修・各種学校の教員を含む、と明記しています。

つまりこの表は「小学校の先生の平均」でも「高校の先生の平均」でもありません。校種の構成比が県によって違えば、それだけで順位は動きます。

落とし穴2:東京都は「基本給1位・給料47位」

ここで見てほしいのは、表の「うち給料」の列です。

東京都の給料は341,300円。小中では47都道府県で最も低い金額です。基本給では1位なのに、です。

差を埋めているのが地域手当70,336円。逆に、給料だけで最も高いのは福島県の375,600円ですが、福島県の基本給順位は13位にとどまります。

地域手当が「該当なし」の県は14あります(青森・岩手・秋田・山形・福島・鳥取・島根・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄・佐賀・愛媛)。地域手当(勤務地に応じた上乗せ)が乗っていない県が順位表の下のほうに来ることと、給料表そのものが低いこととは、別の話です。

高校で新潟県が2位、秋田県が6位に入る理由も同じ列にあります。高校の表で「うち給料」が最も高いのは新潟県の399,000円、次が秋田県の397,500円。ところが地域手当は、新潟県が5,789円、秋田県は該当なしです。

上乗せがほとんどないのに上位にいる。この2県は、給料表そのものが高い県です。東京都は逆で、高校でも給料は350,200円。地域手当71,391円が1位を作っています。

落とし穴3:総務省は「平均給料月額に教職調整額を含む」と注記している

上と同じ『令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要』p.7 第9表の注記には、「平均給料月額とは、給料の調整額及び教職調整額を含む。」と書かれています。ただしこれは令和5年分の概要に書かれた注記であり、令和6年の表に同じ定義が当てはまるかは、この記事では確認できていません。

もし令和6年の表にも同じ定義が当てはまるなら、この金額を見て「残業代込みでこれか」と考えるのも、「残業代は別にもらえるはずだ」と考えるのも、どちらもずれます。教職調整額は、時間外勤務手当の代わりに給料月額へ上乗せされている分で、残業した分だけ増えるお金ではないからです。自分の自治体の教職調整額の率は、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)と各自治体の条例で決まっています。

ここからは私の受け止め方です。やっただけ損をする仕組みだと思っています。ただ、仕事が勤務時間の中で終わることはないので、もう諦めています。

落とし穴4:平均勤務年数が県ごとに10年近く違う

ここから先は、文部科学省の別の調査の数字です。総務省とは調査年も集計の対象も違うので、上の表の金額と直接は比べられません。単位も千円で公表されているため、円に直した金額をカッコで併記します。

公立小学校の平均給料月額は、全国で322.3千円(322,300円)。最も高いのは青森県の358.5千円(358,500円)で、平均勤務年数は22.6年です。最も低いのは神奈川県の301.5千円(301,500円)、平均勤務年数は13.7年。勤務年数の差は8.9年あります。

給料表は勤続で上がっていくので、ベテランの比率が高い県の平均は自然に高く出ます。

平均勤務年数が最も長いのは岩手県の22.7年、短いのは大阪府の12.8年(いずれも公立小学校)。約10年ぶんの差があります。

「この県は給料が高い」ではなく「この県は勤続の長い先生が多い」だった。その可能性が、順位表にはいつも混ざっています。

自分の給料が平均より低いときも、同じ話です。平均は全年齢が混ざった1つの数字なので、経験年数が県の平均勤務年数より短ければ、平均を下回るほうが自然になります。下回っていること自体は、働きぶりの評価とは関係ありません。

出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度」表26 小学校 都道府県別(公立)。統計表は文部科学省 学校教員統計調査 令和4年度の統計表一覧から確認できます。円換算値は千円単位の公表値を円に直したものです。

ほかの公務員と比べると高いのか低いのか

同じ総務省の資料に、職種をまたいで見られる表があります。『令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要』p.7 第9表「職種別平均給与月額(全地方公共団体)」です。

令和5年の数字で、全職種の平均給料月額は326,506円。小・中学校教育職は350,661円、高等学校教育職は368,729円です。地方公務員全体の平均より、教育職のほうが高く出ています。

ただしこれも、そのまま「教員は恵まれている」とは読めません。同じ表には平均年齢の列があり、高等学校教育職は44.8歳、全職種は41.8歳です(いずれも令和5年)。高校教育職が高く出る分には、約3歳ぶんの年齢構成の違いが混ざっています。

一方、小・中学校教育職の平均年齢は41.6歳。全職種より0.2歳若く、年齢構成はほぼ同じです。それでも平均給料月額は全職種を上回っています。小中の差のほうは、年齢では説明がつきません。

金額の食い違いにも触れておきます。この章の350,661円と、記事の最初に出した356,431円は、どちらも「小・中学校教育職の平均給料月額」です。それでも一致しないのは、350,661円が令和5年・市町村を含む全地方公共団体の集計、356,431円が令和6年・47都道府県だけの集計だからです。年が1年違い、集計に入っている自治体の範囲も違います。

振り込まれる額は、この表の金額ではありません

383,365円が口座に入るわけではありません。額面と手取りは別の数字です。

給与明細の控除欄で引かれるのは、主に次のものです。

  • 共済組合(公務員の健康保険と年金にあたる仕組み)の掛金(短期給付・長期給付・介護分)
  • 所得税
  • 住民税
  • 自治体や学校によっては、互助会費・職員団体の会費など

私の場合は、初任の頃で額面が大体22万円、手取りが大体17万円でした。初任の頃の数字なので、いまの私の数字でもありませんし、すべての教員に当てはまる数字でもありません。

自分の手取りを知る最短ルートは、自分の給与明細です。支給欄の合計が額面、そこから控除欄の合計を引いた残りが手取り。この2行を見れば、差額もその内訳もその場でわかります。

控除の額は扶養の人数・住んでいる市町村・共済の掛金率で変わるため、この記事に「額面いくらなら手取りいくら」の早見表は置いていません。他人の平均から逆算しても、自分の数字にはならないからです。

住民税は前年の所得に対してかかります。だから働き始めた1年目は引かれず、2年目から引かれ始めます。昇給しているのに手取りが増えた気がしない、という現象が起きるのはこのためです。

ただ、私自身には手取りが減った印象がありません。制度の説明と私の実感は、ここでずれています。「住民税の納付が始まるので気をつけて」と言われたことは、ありました。

休職すると、この額面と手取りの関係がさらに変わります。給与の何割が出るのか、共済の掛金は引かれ続けるのか。そのあたりは別記事で整理しています。
休職したときに給与がどうなるかを整理した記事

順位が高い県に行けば得なのか

答えから書くと、この順位表は「引っ越せば手に入る額の表」ではありません。理由は3つです。

1つめ。上位を押し上げているのは地域手当です。東京都の地域手当70,336円は勤務地に応じた上乗せで、その地域の賃金水準に合わせた調整にあたります。手元に多く残ることを約束する手当ではありません。

2つめ。県はそう簡単にまたげません。公立学校の教員は、都道府県または指定都市(県とは別に教員を採用する政令指定都市)の教育委員会ごとに採用されます。

県をまたいで働きたい場合、現職者向けの選考の有無や条件は自治体によって違うので、志望先の教育委員会の募集要項で確認してください。すでに現場に立っている人にとって、「1位の県に移る」は机上ほど手近な選択肢ではありません。

3つめ。生活費はこの表に1円も載っていません。

私の場合、移動は車が多いので、自動車代やガソリン代、車検代などがかかります。冬は灯油などの燃料費も必要です。

入ってくる側にも、この表の5つの列に入っていない手当があります。へき地手当は、学校によって大きく変わります。多いところだと5万円くらいになります。金額は、給料に対する率で決まっています。

他県のほうが残業が少なく、給料も高い。そういう話はよく聞きます。定時で帰れるという話や、子どもの下校が早いので放課後の定時前に事務作業の時間が取れるという話です。私が確かめた数字ではなく、聞いた話です。

順位表の上のほうに行くことより、いま住んでいる場所で家計をどう回すかのほうが、たいていは現実的です。
非常勤講師として家計をどう回しているか

これから教員になる人へ:初任給の話

小・中学校教諭(大学卒・選考採用。教員の採用は競争試験ではなく「選考」と呼ばれます。いわゆる教員採用試験のことです)の初任給は、都道府県計で225,523円。最も高いのは愛知県の231,500円で、最も低いのは東京都の210,400円でした。

給料の列と同じで、ここでも東京都が下に来ます。第4表の初任給も地域手当を含まない額と読むのが自然ですが、表に定義の注記がないため、初任給に何が含まれるかは総務省の調査要領で確認が必要です。数字を鵜呑みにするより、志望先の給料表を直接見に行くほうが確実でしょう。

初任給は入り口の額です。そのあと号給(給料表のなかの段階。級が職責の区分で、号給は同じ級のなかの刻みです)が上がっていく速さも、長い目で見れば差になります。

私の場合は、給料が少し増えたのかな、と思うくらいで、実感としてはほぼありませんでした。毎年7千円くらいだったと思います。統計の数字ではなく、私の記憶にある金額です。

「A県とB県、どっちが給料が高いのか」を自分で確かめるなら、記事のはじめに挙げた給与条例と教育職給料表に、あと2つを重ねます。

  1. 級と号給の位置。自分がどこに格付けされるかは自治体の初任給決定基準で決まるので、募集要項に初任給の記載があればそちらも見ます
  2. 地域手当の支給割合。勤務地ごとに決まっているため、志望する市町村が対象かどうかで金額が変わります

初任給だけで決めないほうがいいのは、号給が上がる速さと期末勤勉手当の月数で、あとから差がつくからです。見つからないときは、教育委員会の採用担当に聞くのが早いです。

出典:総務省「令和6年 地方公務員給与実態調査(補充調査)」第4表 初任給/1 都道府県別・団体区分「(1)都道府県」小・中学校教諭 大学卒(選考)。

この統計に入っていない先生がいます

ここまで見てきた表の職員数は、小中で478,750人、高校で221,473人。学校にいる先生の全員が、この数に入っているとは限りません。

総務省の第5表は、給料に扶養手当と地域手当を足す形で集計されています。扶養手当も地域手当も、常勤の職員の給与の組み立て方です。

非常勤講師や会計年度任用職員(1年ごとに任用される地方公務員の区分)がこの平均にどう扱われているのかは、統計表そのものからは読み取れません。含まれているとも、含まれていないとも書けないのが正直なところです。調査の対象範囲は、総務省の調査要領で確認する必要があります。

先生たちは、教室に入って、子どもの前に立って、丸をつけて、保護者に電話をします。同じことをしていても、給与の組み立てが違えば、平均という1つの数字には収まりません。「教員の給料はいくらですか」に1つの数字で答えられないのは、そのためです。

いま私がしている小学校の非常勤講師は、時給制です。1コマを1時間として計算します。正規だったころと比べると、お金は減ります。そのかわり、自由な時間は増えます。校務分掌がないので、仕事の中身も授業だけに限られていて、その分は減っています。

休職中の人も、この平均の外にいます。休職に入れば支給額は変わるからです。いま手元に入っている金額が、この記事に並んだ38万・39万という数字とかけ離れていても、統計の読み方としてはそれが当たり前です。平均に届かないことは、おかしなことではありません。

私が休職していたときは、給与は8割支給でした。お金のことで不安だったのは、このまま休んでいて仕事に復帰できなかった場合です。支給がなくなったときにどうしたらいいんだろう、と考えていました。

給料は、続けるか離れるかを決める材料のひとつです。ただ、材料はそれだけではありません。

私が教員を離れると決めたときは、給料が少ないことも関係していました。どれだけ働いても、頑張っても給料はほとんど増えない。それも影響していました。安定しているという公務員のメリットを、私はメリットとして捉えられませんでした。

これは私の場合の話です。同じ材料でも、続けるという答えになる人はいます。

よくある質問

Q1. 教員の給料は都道府県で違うのですか?

違います。総務省の令和6年の調査では、小・中学校の教員の基本給月額は東京都の416,906円から愛媛県の354,018円まで、62,888円の幅があります。ただしこの基本給には地域手当が含まれているので、給料表そのものの差とは一致しません。

Q2. 「給料」と「基本給」はどう違うのですか?

総務省のこの調査では、基本給=給料+扶養手当+地域手当です。「給料」は給料表で決まる土台の額を指します。住居手当や通勤手当は、この表の列に入っていません。

Q3. 教員の年収はどうやって計算すればいいですか?

月額×12+期末勤勉手当、が基本の形です。期末勤勉手当の支給月数は各自治体の給与条例で決まるため、この記事では年収の金額を出していません。自分の自治体の給与条例と教育職給料表を見れば、平均ではない自分の数字が出せます。

Q4. 小学校と中学校で給料は違いますか?

総務省の調査では、小学校・中学校・幼稚園が1つの区分にまとめられているため、この表からは分けられません。文部科学省の学校教員統計調査(令和4年度・公立)なら分かれていて、平均給料月額は小学校322.3千円(表26)、中学校332千円(表37)です。

Q5. 初任給がいちばん高いのはどの県ですか?

小・中学校教諭(大学卒・選考採用)で見ると、愛知県の231,500円です。都道府県計は225,523円、最も低いのは東京都の210,400円。ただし地域手当は別枠なので、初任給の順位がそのまま入職1年目の支給額の順位になるとは限りません。

Q6. 統計の平均と自分の給料が違うのはなぜですか?

平均は、経験年数も校種もばらばらの人をまとめた1つの数字だからです。公立小学校の平均勤務年数は、最も長い岩手県で22.7年、最も短い大阪府で12.8年(文部科学省・令和4年度)。約10年ぶんの差が、そのまま平均に効いています。

まとめ

  • 小・中学校の教員(都道府県分)の平均は、給料が月356,431円、扶養手当と地域手当を足した基本給が月383,365円。高校はそれぞれ370,607円と398,565円です(総務省・令和6年)。
  • 47都道府県の順位には、地域手当・校種の混在・平均勤務年数の差が全部入っています。東京都は基本給1位ですが、給料だけで見ると341,300円で、小中では47都道府県の最下位にあたります。
  • 年収を知りたいときは、平均から逆算せず、自分の自治体の給与条例と給料表を1回開く。それが最短です。
  • 手取りは控除の中身で変わります。答えは他人の平均ではなく、自分の給与明細の控除欄にあります。

数字を並べましたが、給料は働き方を決める材料のひとつでしかありません。いまの職場で続けるにしても、別の道を考えるにしても、自分の数字がわかっていると、どちらの選択も少し軽くなります。

今日やるなら、まずこれ1つ

直近の給与明細を1枚開いて、控除欄の合計だけ見てください。額面と手取りの差が、自分の場合いくらなのかがわかります。この記事の平均より、その1行のほうが役に立ちます。

ただし、いまは何もしなくて大丈夫です。数字を見るのがしんどい時期なら、明細は引き出しに戻して構いません。必要になったときに、この記事に戻ってきてもらえれば十分です。

次に読むなら

この記事の数字について

  • 金額はすべて公表された統計からの引用です。平均から逆算した推計値は使っていません。
  • 落とし穴3で引いた注記は令和5年分の概要のものです。令和6年の表に同じ定義が当てはまるかは確認できていません。
  • 総務省 第4表の初任給に何が含まれるかは、表に定義の注記がなく、確認できていません。
  • 総務省と文部科学省の数字は、調査も年も集計の対象も違います。そのまま並べて比べることはできません。

この記事を書いた人

だにえる/元・正規教員で、いまは小学校の非常勤講師をしています。休職も経験しました。教員の休職・退職・お金まわりのことを、自分が調べて詰まったところから書いています。

この記事の数値は公的統計の引用です。個別の給与額・控除額は、勤務先の自治体の給与条例と給与明細で確認してください。

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