「教員を辞めた後、どんな働き方をしている人がいるんだろう」
休職中の夜や、退職を考え始めた朝、私はこの問いを何度も検索しました。出てくる答えは「異業種に転職した話」が中心で、それも参考にはなるのですが、自分にしっくり来る感覚にはなかなか出会えませんでした。
私はもともと小中学校の正規教員として働いていました。長時間労働や人間関係で心身を崩し、休職を経て退職を選んでいます。いまは非常勤講師として小学校で教科指導中心に働きつつ、オンラインスクールの講師や、ブログでの発信といった副業も続けています。
退職から数年経って思うのは、教員を辞めた後の働き方には、いくつかのパターンがある、ということです。
この記事では、私自身が考え選んだ「教員を辞めた後の働き方 4パターン」を、収入・安定性・自由度・心の負担の4つの軸で正直に比較します。あわせて、最後に「自分はどのパターンが合いそうか」を整理できる短いチェックリストも置いています。
これは「教員を辞めるべきだ」というお話ではありません。一つの選択肢として、ゆっくり読んでもらえたらうれしいです。
教員を辞めた後の「働き方」は、意外と多様
退職を考え始めたとき、多くの人がまず思い浮かべるのは「別業界への転職」だと思います。実際、教員向け転職エージェントの広告も、よく目にします。
でも、辞めた後の実際の働き方は、それだけではありません。私が周りや自分自身を見て整理した範囲では、おおむね次の4パターンに分けられます。
- ① 非常勤講師として教え続ける
- ② 副業を組み合わせる「複業型」
- ③ 別業界へ転職する
- ④ 独立・フリーランス的な働き方
並列の選択肢ではあるのですが、性質はかなり違います。比較する軸を決めておくと、それぞれの違いが見えやすくなります。
私が4パターンに分けた理由と、4つの判断軸
4パターンを比較するために、私は以下の4つの軸で考えるようにしました。
- 収入:どのくらいの月収・年収を期待できるか
- 安定性:来年も同じ条件で働ける見通しがあるか
- 自由度:時間や働き方を自分で決められるか
- 心の負担:日々の精神的な消耗の少なさ
この4軸で見てみると、どのパターンも「全部に強い」ということはありません。何かを優先すると、何かが弱くなる、というのが実感としてあります。
大事なのは「いちばん優先したいものは何か」を、自分の中で先に決めることだと感じています。
パターン① 非常勤講師として教え続ける
正規教員を辞めた後も、学校で教えることそのものは続けるという働き方です。週に数日、特定の教科だけを受け持つ形が一般的です。
どんな働き方か
- 担任業務や校務分掌、保護者対応の負担が基本的にない
- 授業に集中できる時間が多い
- 勤務日数・時間が契約で明確に決まる
- 契約期間は基本的に年度単位
私の実体験
私は現在、非常勤講師として小学校で教科指導中心に働いています。担任や校務の重みがなくなった分、「教える」ことそのものに向き合える時間が増えました。授業の準備に十分な時間を使えて、子どもの様子を見て授業を組み立てる余裕も戻ってきています。
正規時代に感じていた「常に何かを抱え続けている」感覚は、明らかに薄くなりました。
合う人・合わない人
- 合う人:教えることは続けたいが、業務量を減らしたい/心身の回復を優先したい
- 合わない人:年間収入を最優先したい/長期的な安定性を最重視したい
4軸スコア(私の体感)
| 軸 | 評価 |
|---|---|
| 収入 | △(正規時代より明確に減る) |
| 安定性 | △(年度更新の不安は残る) |
| 自由度 | ○(勤務日数・時間に余裕) |
| 心の負担 | ○(業務範囲が限定的) |
パターン② 副業を組み合わせる「複業型」
収入を1本に頼らず、複数の仕事を組み合わせて働くスタイルです。「副業」というよりは「複業」と書くほうが感覚に近いかもしれません。
どんな働き方か
- 非常勤や時短勤務を本業にしつつ、別の収入軸を育てる
- オンラインでの講師、ブログ、ライティング、デザイン、AI活用支援などが組み合わせの例
- 収入の柱が2本以上あることで、片方が変動してもダメージが少なくなる
私の実体験
私は非常勤講師と並行して、オンラインスクールで子ども向けの講師を続けています。さらに、このブログでの発信や、AIを使った仕事の効率化にも取り組んでいます。
「教えることが好き」という軸は変わっていません。ただ、その軸を「学校」だけに置かず、複数の場所に分散させることで、心の負担がぐっと軽くなりました。1か所がうまくいかなくても、別の場所でやりがいを感じられる、という安心感は大きいです。
合う人・合わない人
- 合う人:自分で動くことが嫌いではない/時間の自由度を高く持ちたい/新しいことを試してみたい
- 合わない人:1つの場所に腰を据えて働きたい/勤務以外の時間は完全にオフにしたい
4軸スコア(私の体感)
| 軸 | 評価 |
|---|---|
| 収入 | ○(柱が増えれば伸ばしやすい) |
| 安定性 | △(自分で育てる必要がある) |
| 自由度 | ◎(時間も場所も選びやすい) |
| 心の負担 | ○(分散できる安心感) |
パターン③ 別業界へ転職する
教員という仕事から離れて、まったく別の業界へ移る選択肢です。教員経験をどう活かすかで、選べる職種は意外と広がります。
どんな働き方か
- 教育系企業、人材紹介、研修・コンサル、営業、ITなどが代表的
- 会社員として働くため、安定収入と社会保険が確保されやすい
- 教員のポータブルスキル(説明力・段取り力・対人力)が活きる場面が多い
私が選ばなかった理由
正直に書くと、私は別業界転職を選びませんでした。否定しているわけではなく、その時点の自分には合わなかった、というのが理由です。
休職を経て退職するタイミングだった私には、まず心身を守りながら働き方を立て直すことが最優先でした。その状態で別業界の選考を受け、新しい環境に飛び込むのは、もう1段重い決断に思えたのです。
また、教育という仕事そのものは好きだったので、完全に離れる決断は当時しっくり来ませんでした。一方で、安定した収入や社会的な信用を最優先したい人にとっては、別業界転職はとても有力な選択肢だと、いまも思っています。
具体的な職種の選び方や、教員経験の活かし方については、別記事の教員におすすめの転職先4選も参考になると思います。
4軸スコア(一般的な傾向)
| 軸 | 評価 |
|---|---|
| 収入 | ◯(業界・職種次第で正規時代以上も) |
| 安定性 | ◎(会社員としての雇用と社会保険) |
| 自由度 | △(勤務時間・場所の制約は戻る) |
| 心の負担 | △(新しい環境への適応コスト) |
パターン④ 独立・フリーランス的な働き方
会社や学校に雇われず、自分で仕事を取って動くスタイルです。教員経験を活かした研修講師、教材販売、コンサル、ブログ・YouTubeなどの発信業が代表的です。
どんな働き方か
- 収入の上限は自分で決められる
- 同時に、収入の下限の保証もなくなる
- 確定申告・営業・経理など、すべて自分で動く
- 軌道に乗るまでに時間がかかることが多い
私の現在地
正直に書くと、私は「いま完全に独立している」状態ではありません。非常勤講師という安定的な柱を残しつつ、副業として発信や講師業を育てている段階です。
この働き方は、いきなり飛び込むタイプの選択肢というよりは、非常勤や副業を続けながら、少しずつ重心を移していくような、段階的な選択肢だと感じています。私自身も、まだその途中にいます。
合う人・合わない人
- 合う人:自分で動くことが好き/長期的に育てる時間を取れる/不安定さを許容できる
- 合わない人:毎月の収入の見通しがないと不安が大きすぎる/営業・事務作業に強い苦手意識がある
4軸スコア(私の体感)
| 軸 | 評価 |
|---|---|
| 収入 | ◎ または ×(伸ばし方次第で大きく揺れる) |
| 安定性 | ×(保証は基本的にない) |
| 自由度 | ◎(時間も内容もすべて自分で決める) |
| 心の負担 | △(収入の波と裏表) |
4パターンを並べてみる「自分はどれが合いそうか」
いちばん大事なのは「自分の中で何を優先したいか」をはっきりすることです。短いチェックリストを置いておきます。気になるところに、心の中でチェックを入れてみてください。
- □ 収入の安定を最優先したい → ③ 別業界転職が向きやすい
- □ まずは体調や心を立て直すことを最優先したい → ① 非常勤講師が向きやすい
- □ 教育に関わり続けたい → ① または ②
- □ 自由な時間を増やしたい → ② または ④
- □ 副業や発信を育てたい → ② を中心に、将来的に ④
- □ 1つの場所に腰を据えて働きたい → ③ または ①
- □ 不安定さよりも、変化のなさが苦痛に感じる → ② または ④
もちろん、現実はこんなにきれいに分かれません。チェックが複数つくのは自然なことで、その組み合わせが「自分らしい働き方」のヒントになります。
私が選んだのは「①と②の組み合わせ」
結論として、私が現在歩んでいるのは ① 非常勤講師として教え続ける × ② 副業を育てる の組み合わせです。
非常勤講師という形で教えることを続けつつ、オンラインスクール講師、ブログ、AI活用といった軸を少しずつ育てています。将来的には、④ の独立・フリーランス側に少しずつ重心が動いていく可能性もありますが、それは「いま無理にやること」ではなく「自然に向かっていく方向」だと感じています。
この組み合わせを選んだ理由は、整理するとシンプルです。
- 心身を守りながら、無理なく働き続けられる形を最優先したかった
- 教えるという仕事そのものは続けたかった
- 収入が1本に依存する状態を少しでも分散しておきたかった
- 新しいこと(発信・AI活用)に挑戦できる余白を残しておきたかった
正直に書いておきたい、3つの不安
選んでよかったと感じる一方で、ゼロにはならない不安もあります。隠さずに書いておきます。
1. 収入は確実に減った
正規教員時代と比べて、月の収入はしっかり減りました。ボーナスや退職金もありません。「もしあのまま続けていたら」と考える夜は、いまもあります。
その分、生活費を見直したり、副業として育てている軸の収入を少しずつ伸ばしたり、というのが日々の課題です。
2. 仕事がいつなくなるか分からない
非常勤の契約は年度ごとです。来年も同じ学校・同じ条件で働ける保証はありません。自治体の予算や学校の事情で変わることもあります。
これは正直、気にしていないと言ったら嘘になります。ただ、副業の柱を育てていることで、「すべてが一気に消える」可能性は下がっていると、自分の中で納得させています。
3. 「逃げた」と思われないかという自問
これは外から向けられる声というより、自分の中の声でした。「もう少しがんばれたのではないか」「途中で辞めたのは無責任なのではないか」と考えた時期もあります。
でも、心身を守るために選んだ道は、逃げではなく、自分に合う場所を探すための一歩だったと、いまは静かに言葉にできるようになってきました。
それでも、いま選んでよかったと思える理由
収入は減り、安定も減り、肩書きも変わりました。それでも、いまの組み合わせを選んでよかったと感じる理由は、シンプルです。
- 朝、ふつうに起き上がれる日が増えた
- 子どもたちと関わる時間に、もう一度落ち着いて向き合えるようになった
- 「明日もこの働き方を続けられる」と思える
- 自分のペースで、暮らしと仕事を組み立てられている
派手な成功ではありません。ただ、「健康を守れること」と「無理なく働けること」が、自分にとってどれだけ大切だったかを、改めて感じる毎日です。
教員を辞めるか迷っている方へ
もし今、教員を辞めるかどうか迷ってこの記事を読んでくださっているなら、伝えたいのは一つだけです。
教員を辞めることは、逃げではなく、自分に合う働き方を選ぶことです。
正規にこだわらない働き方、教員の枠の中で形を変える働き方、教育から少し離れる働き方。選択肢はいくつもあり、どれが正解ということもありません。
このブログでは、休職や退職、いまの働き方について、私自身の体験ベースで書いています。よかったら、退職前後の心の動きをまとめた教員を辞めた後の働き方|私が非常勤講師と副業を選んだ理由や、休職を決めるまでの実体験を書いた教員がうつ病で休職を決意するまで、教員の休職1か月目のリアルもあわせて読んでみてください。
このあと、「教員を辞めて後悔したこと・しなかったこと」「非常勤講師の月収・年収のリアル」といった記事も順次まとめていく予定です。
無理せず、ご自身のペースで、自分に合う働き方を探していきましょう。


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